2014 Fiscal Year Research-status Report
がんラジオアイソトープ内用療法開始患者の治療予備能力を予測する因子の解明
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25861054
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20514136)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラジオアイソトープ内用療法 / 予備能力 / 末梢血 / 微小核 / 甲状腺関連ホルモン / バイオマーカー / 放射性ヨウ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、がんラジオアイソトープ内用療法施行患者における治療予後予測因子を把握するバイオマーカーを見出すための研究である。平成26年度までの2年間で、甲状腺癌患者25名より、経時的解析のサンプルを計70検体以上収集することができたため、この集団に対して解析を進めた。 分化型甲状腺癌は比較的良好な生命予後である一方、遠隔転移や局所領域再発がしばしば認められる疾患であり、治療選択肢として131-I内用療法が施行される。解析対象患者は、研究代表者が所属する医学部附属病院にてインフォムドコンセントにて同意の得られた25名(56 ± 11歳)の131-I内用療法予定とする分化型甲状腺癌患者とした。対象患者の末梢血は、3.7-5.6 GBqの131-I内用4週前、内用直前、内服4週後に採取された。採取された血液は、甲状腺関連マーカー分析、血球分画分析、及び微小核形成分析を実施した。 血球分画分析において、白血球系及び赤血球系の主用血球は内用4週後全て有意に減少した。CD45+血液細胞を対象としたmicronuclei frequencyにおいて、内用4週後有意に上昇した。更にそれら変動には個体差が確認された。 以上のことから、分化型甲状腺癌患者における3.7-5.6 GBq の131-I内服治療は、有害事象に至らないものの主要分画血球に影響を及ぼす他、正常血球細胞に核損傷をもたらすことが確認された。このことから血清タンパク成分の変動を含め、長期的なフォローアップによって影響を注視していく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度から進められてきた検体収集が、平成26年度終了時点で予定のピークを過ぎ、途中経過を国際誌へまとめた。残りの血清解析なども順調に解析を進め、論文投稿及び学会発表のめどがついているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、酸化ストレス応答因子を含む血清代謝成分に着目して解析を進めていく。また、学科発表及び論文投稿といった情報発信を積極的に進めていく。
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Causes of Carryover |
本研究課題は、癌治療患者を対象とした臨床に基づく研究であることから、倫理的配慮及びその検体採取には臨床現場の環境が大きく反映されたため、計画の金額を使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の主な使途は論文投稿料及び採血関連消耗品として、計画されている。
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