2014 Fiscal Year Annual Research Report
照射後血中オステオポンチンを指標としたHIF-1阻害剤併用放射線治療法の開発
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25861056
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 まり子 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (30645263)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素 / LW6 / アポトーシス / ミトコンドリア脱分極 / 上皮間葉転換 / JNK |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍微小環境における低酸素状態はがん放射線治療の抵抗因子となる。この一端を担うHypoxia-inducible factor-1α(HIF-1α)に対する新規小分子阻害剤であるLW6は、低酸素腫瘍の治療抵抗性改善に働くことが期待されるが、詳細な作用についてはまだ不明な点が多い。 そこで本研究では、ヒト肺腺癌A549細胞を用い、LW6を培地中に投与して通常酸素または低酸素(1%酸素)下で培養し、タンパク質定量とアポトーシス解析を行った。HIF-1α発現量をウエスタンブロット法で評価したところ、低酸素に起因するHIF-1α発現はLW6投与で抑制された。また、通常酸素下ではLW6投与と非投与でアポトーシス細胞の割合に変化を認めなったが、低酸素下ではLW6投与により優位に増加した。LW6は低酸素腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが明らかとなった。 さらにJC-1にてミトコンドリア膜電位を評価したところ、LW6投与後に低酸素へ曝露するとミトコンドリア脱分極が有意に誘導された。通常酸素下や低酸素曝露・LW6非投与ではこのような変化は見られなかった。LW6はミトコンドリア膜電位の脱分極を介して低酸素腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが示唆された。 さらにスクリーニング解析によって、LW6がMAPK経路のひとつであるJNKの活性化阻害にも働くことを見出した。腫瘍の浸潤・転移に寄与するとされる上皮間葉転換(EMT)にHIF-1αやMAPK経路の関与が明らかとなってきており、LW6はHIF-1αおよびJNKの少なくとも2つのシグナル伝達経路の遮断によって低酸素および放射線誘導性EMTを強力に抑制する可能性が考えられた。LW6は低酸素毒性のみならず、EMTを介した再発機構抑制作用も有することが期待できる。
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Research Products
(4 results)