2015 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸性移動腫瘍に対する四次元放射線治療における投与線量検証システムの開発
Project/Area Number |
25861057
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤田 幸男 東海大学, 医学部, 助教 (10515985)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 品質管理 / モンテカルロ計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに体内構造の時間軸上の変形を考慮した線量計算アルゴリズムを開発した。平成 27年度は、この計算アルゴリズムで投与した線量分布を計算するために治療時の線源情報の再構成法を研究した。具体的には人体を透過した治療ビームの光子強度分布から透過一次光子強度分布を予測し、人体に入射した光子強度分布を再構成する方法を検討した。透過一次光子強度分布を予測するためには治療ビームと人体との相互作用によって発生した散乱光子分布を明らかにする必要がある。したがって我々は、この散乱光子分布を計算可能なモンテカルロシミュレーションコードを開発した。さらにこのコードをGraphics Processing Unit(GPU)内で超並列計算が可能なコードに拡張した。 これにより初期段階の 100分の1 の時間で計算することが可能となり、実用性の向上も達成した。計算された散乱光子分布を、加速器に装備された Electronic Portal Imaging Device(EPID)で取得した透過光子強度分布から減算することにより透過一次光子分布が予測可能となった。 EPIDは連続画像取得が可能であり、四次元光子強度分布も取得可能である。最終的に研究期間で構築したシステムをすべて統合することにより本研究の最終目的であった四次元投与線量分布の再構成が可能となる。現在これらの統合を行っている。 本研究は、急速に高度化する放射線治療において正確で安全な放射線治療の実現のために、非侵襲的な投与線量検証システムを開発することを目的とした。本研究で開発したシステムは呼吸性移動により正確な投与線量の評価が困難であった肺・縦隔領域の投与線量検証を可能とする。この成果は臨床研究の発展に寄与でき、治療成績の向上と副作用の低減に繋がる可能性がある。
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