2013 Fiscal Year Research-status Report
3次元的生物効果線量(BED)分布解析による新たな包括的放射線治療評価法の探索
Project/Area Number |
25861070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田巻 倫明 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (20400749)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 合成線量分布 / 生物学効果線量 / 子宮頸癌 / 小線源治療 / 外部照射 |
Research Abstract |
平成25年度には、子宮頸癌に対する放射線治療における外部照射と子宮腔内照射のデータを抽出し、その物理線量および生物効果線量(Biologically effective dose、BED)を合成し3次元的分布を示す手法を確立した。まず、本手法を用いて、臓器の変形や移動を考慮する必要が少ない臓器である骨盤リンパ節に対するBEDの3次元的な分布解析を行い、その成果を日本放射線腫瘍学会第26回学術大会で発表した。本解析は、これまで評価が困難であった子宮腔内照射の骨盤リンパ節領域に対する線量寄与を明確にし、骨盤リンパ節転移の制御に必要な放射線治療戦略の検討に有用な手法であることが示唆された。本年度末現在、その結果について論文作成中である。 また、子宮頸癌の原発巣、および直腸や膀胱などの正常組織に対して投与される外部照射と腔内照射の線量の合成BEDの解析も進めている。本年度では、その基礎となるデータと確立するべく、疑似ファントムを用いて標準的放射線治療計画の合成BED分布を解析した。ファントム解析により3次元的なBED分布および生物効果線量-体積ヒストグラム(BED-Volume histogram、BEDVH)のパラメータを算出した。また、臨床症例における臓器の変形などを考慮してBED合成分布を作成し、抽出されたBEDVHパラメータの比較評価を行った。年度末現在、この解析は進行中であり、平成26年度にその結果を発表し、論文作成予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した平成25年度の研究計画で挙げた項目は、おおむね達成している。研究費の執行に関しては、解析の進行が本年度中の海外学会発表には時間的に至らなかった分、執行が遅れているが、次年度以降に積極的に進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、子宮頸癌に対する放射線治療を施行した症例でのHigh risk CTV(原発巣)、直腸、膀胱、小腸などにおけるBEDVHパラメータの算出を継続し、その臨床的な局所制御および副作用発現に関連するBEDVHパラメータの抽出を行う。 また、現在普及しつつある強度変調放射線治療(IMRT)、重粒子線治療、画像誘導小線源治療(Image-Guided Brachytherapy、IGBT)などの高精度放射線治療への応用も探索する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度内前半は研究手法の確立を継続していたため、本年度予定であった海外学会発表は遂行できなかった。また、線量分布解析ソフトの開発に関しては、現在使用中のプログラムの機能を活かし開発することで、初期段階での支出が削減できた。 次年度以降で海外学会発表およびプログラム開発などを積極的に遂行し、これらの研究活動に予算を充てていく予定である。
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