2013 Fiscal Year Research-status Report
早期に臨床応用が可能な放射線増感剤~PARP阻害剤の研究
Project/Area Number |
25861114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
堀 正和 札幌医科大学, 医学部, 助教 (90404714)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線増刊 / オラパリブ / PARP阻害剤 |
Research Abstract |
オラパリブはPARP阻害剤で、DNA一本鎖切断の修復を阻害し、DNA複製分岐点を崩壊させDNA二重鎖切断を生成する。オラパリブ(PARP阻害剤)の放射線増感効果を検討し、放射線増感剤としての臨床応用への可能性を検討することを目的とした。 (1)オラパリブの細胞毒性(殺細胞効果)について 子宮頸部腺癌細胞株(CAC-1)を使用し、細胞生存率を求め、オラパリブによる細胞毒性(殺細胞効果)について調べた。オラパリブによる細胞毒性は、軽度であるがみられ、オラパリブ濃度及びオラパリブの細胞培養液への添加時間に依存した。0.05~1μMの濃度において用量依存的な細胞毒性を認めた。オラパリブによる細胞毒性の時間依存性に関しては、添加時間を3、6、24時間で検討したが、3時間と6時間では差はみられなかったが、24時間では、有意に毒性が大きかった。ちなみに、3時間の添加時間、1μMのオラパリブ濃度で、5%程度の細胞生存率の低下であった。また、24時間の添加時間、1μMのオラパリブ濃度で、8%程度の細胞生存率の低下であった。 (2)オラパリブの放射線増感作用について オラパリブの放射線増感作用とオラパリブ濃度の関係では、0.01~1μMの濃度で検討したが、放射線増感作用は、0.05μMでプラトーに達した。オラパリブの放射線増感作用とオラパリブの添加時間の関係では、添加時間3、6、24時間で検討したが、2Gyでは有意差はみられなかったが、6、8Gyと線量が高くなるに従い、添加時間が長いほど、放射線増感作用が増大する傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の研究室では、ヒト大腸癌細胞(DLD-1)を使用して同様の研究を行ったが、その結果とほぼ一致した。癌の種類が異なるにも関わらず、オラパリブの放射線増感効果がみられたのは、PARP阻害剤であるオラパリブを臨床応用するために必要な特性の解析が進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
PARP阻害剤であるオラパリブを臨床応用するために必要な特性の研究をさらに進める。オラパリブが、臨床で達成可能な低濃度でも、放射線増感効果があることが子宮頸部腺癌細胞でも確認できた。様々な種類の癌細胞で、オラパリブの放射線増感について、検討する。また、放射線増感効果が期待できる癌を予測できないか、その予測法についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に研究室にあった消耗品を使用して研究を行ったため、残額が発生した。 H25年度の残額とH26年度の直接経費を用いて、PARP阻害剤(オラパリブ)の臨床応用に向けた研究を行う。
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