2013 Fiscal Year Research-status Report
薬物動態モデルの簡素化による安定かつ高精度な受容体濃度解析手法の開発
Project/Area Number |
25861123
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坂口 和也 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40521175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 薬物動態解析 / 脳・神経 / 核医学 / 放射線 |
Research Abstract |
PET動態撮像において、薬物速度論に立脚した神経受容体結合能推定モデルを、標的とする受容体以外が過渡平衡に達するまでの期間に取得されたデータを排除した、いわゆるグラフ解析法を基にして、構築した。 具体的には、一定期間後の入力である血漿の放射能濃度を2本の指数関数、受容体との結合解離を1本とした指数関数モデルで、ラゲール関数群(基底)より直交展開を行い、ラプラス変換後の周波数空間で、指数関数とラゲール関数の関係から、速度定数を推定するものである。不等時間隔で実測されたPETデータから基底への配分は、基底関数を同様に不等時間隔で分割・平均し、最小二乗法により係数の算出を行った。また、基底の数(次元)は、ラゲール関数の位相成分に着目し、(主成分分析のように)撮像データに依存することなく、撮像前に設定する時間間隔によって決定できるようにした。 平成25年度の研究では、モデル構築と速度定数の安定推定が主目的であったため、PETデータは、動態解析ソフトウェアPMOD(ペットテクノロジーサプライズ社)のデモデータ及び関連する研究の文献より取得した。また、目標とする解析法の実装はMATLAB(マスワークス・ジャパン社)上で実施した。さらに、本研究は線形処理の組合せで成立しており、高速処理を一つの利点として持ち、推定した速度定数を画素毎に計算表示できる能力を有している。この評価および臨床データを用いた評価に先立つ検討として、4D-XCATファントム(Duke大学)を用いて、数値シミュレーションを実施した。 PETデータに雑音が付加されていない場合は、最初に与えた速度定数に近い値が得られるものの、PET画像が持つであろう雑音レベルに対しては推定分散が著しく大きくなる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究と比較した場合の本研究の特色は、薬物速度論に立脚したパラメトリックモデルであり、今後、臨床現場等で安心して使用できるような方法論の構築を目標としている。そのため、直交展開時の次元設定にも根拠を求め、安易にベイズ推定などの枠組みを組み入れることも避けるよう努めてきた。これらの検証・確認が遅れの原因となっており、臨床使用を申し出るに至っていない。 しかしながら、方法論であるため、手法が確立した時点で臨床例の評価を行えばよく、手法の比較対象は、商用で広く用いられているPMODのツールで賄う事が可能である。そのため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度が最終年度に相当することより、方法論の確立は必須としている。 PETデータに雑音が付加されることで、推定が著しく不安定になることより、これを抑える手だてを試行する。具体的にはベイズ推定の枠組みを薬物速度論を崩さない形で盛り込む。 これと平行して、実測のPETデータの借用を、共同研究の関係にある、東京都健康長寿医療センター研究所神経画像研究チームに申請、論文化の際に必要となる臨床例を、提案手法および比較手法を用いて比較評価する。なお、使用データは受診者の採血データ(放射能濃度曲線)とPET画像のみであるが、ヒトを対象とする研究であることより、本学および使用先の倫理委員会への申請も実施する。 平成26年度末を持ってしても、雑音の問題が十分に解決しない場合には、完成形では無いものの、薬物動態解析の線形化の一手法として論文発表し、線形化された本モデルを基に、雑音低減そのものを画像再構成側に組み込む四次元画像再構成などに発展させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3万円弱であり、物品購入・旅費共に使用するには些少であったため。 臨床データ使用のための環境構築、論文化の際の英文校正料などの一部として使用する。
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