2014 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態モデルの簡素化による安定かつ高精度な受容体濃度解析手法の開発
Project/Area Number |
25861123
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
坂口 和也 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (40521175)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 薬物動態解析 / 脳・神経 / 核医学 / 放射線 |
Outline of Annual Research Achievements |
PET薬物動態解析において、動脈採血を経ることなく、また、薬剤投与直後からの経時的撮像ではない投与一定時間後からの撮像を可能とするモデルを構築し、実装・評価を行った。 本手法はLogan plotに代表されるグラフ解析法の一種で、体内の薬物動態のうち、非特異的結合が目的受容体への特異的結合に比べ早期に平衡状態に達するとの発想の下、血漿成分および平衡状態に達した非特異的結合の和を2本の指数関数和で、受容体への特異的結合を1本の指数関数で薬剤分布の時間的変化を表現した新しいモデルを構築した。また、新しい手法で推定される3本の指数関数が持つ速度定数から、従来から用いられている定量指標である総分布容積および受容体結合能を算出する手法についても考案した。本手法は動脈採血が無く、参照領域を別に設定する必要性も無いことから、採血後の計測における放射能濃度の統計的誤差や参照領域の設定によるバイアスが掛からないより安定した手法であると考えられた。 実測データへのモデルのフィッティングについては、局所解に陥らないよう、また反復演算の少ないスペクトル解析法に区分されるラゲール多項式近似とそのラプラス変換を利用し、自己回帰モデルを用いて速度定数推定を行った。先行研究においてラゲール多項式を用いた手法は既に報告されているが、主目的が血漿成分と薬剤解離・流出による減衰の時間的変化のたたみ込みを積に変えるとこであり、本提案手法の指数関数近似のための使用とは一線を画す。また、事前に指数関数群を準備し順次フィッティングさせていく手法も存在するが、提案手法の場合は連続的な取扱いが可能となる点で有利である。 提案手法は無雑音の状況下では速度定数の推定が良くできているものの、雑音を含む系に対しては推定分散が著しく大きくなった。また、検討を通じて、規定した雑音モデルと実際の画像での雑音に差異があることが認められた。
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