2013 Fiscal Year Research-status Report
アミノレブリン酸治療効果を予測する新規高感度画像診断プローブの開発
Project/Area Number |
25861136
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 千恵 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 准研究員 (20637285)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 核医学 / PET / アミノレブリン酸 / 炭素-11 |
Research Abstract |
アミノレブリン酸 (ALA) の5位に[C-11]メチル基を導入した[6-11C]5-amino-4-oxo hexanoic acid ([C-11] MALA) の合成法を検討した。[C-11]メチル化反応条件の最適化を行い、DMSO中、塩基に0.2等量のtetrabutylammonium fluorideを利用し、室温90秒間の反応により、75.6%の放射化学的収率でメチル化体を得た。NaOH水溶液によるエステル加水分解は、穏和な条件 (0.1 N, 室温, 90秒) で進行し、強塩基の使用や加温により副生成物の割合が増加した。最後に0.4 N HCl水溶液を加え、室温で90秒間でイミンを加水分解した。これらの反応条件で遠隔自動合成を行い、HPLCにより精製を経て、照射終了から35分と短時間に、4.4%の収率で[11C]MALAを97.5%の放射化学的純度で得る方法を確立した。 [C-11] MALAのin vitroにおける安定性を、PBSおよびマウス血漿中で評価したところ、いずれも一時間後まで安定に存在した。 5種のヒト腫瘍由来細胞株 (AsPC-1, SkBr-3, U-87 MG, BxPC-3, MIA PaCa-2) を用いた細胞取込み実験の結果、AsPC-1に最も高く[C-11]MALAは取り込まれた。その取り込みは、ALAおよびALAの輸送に関与すると知られるトランスポーターの阻害剤の添加によって濃度依存的に阻害され、ALAと類似した機序により細胞内に取り込まれると考えられた。各細胞における[C-11]MALAの取り込み量と[H-3]ALAの取り込み量は相関しなかった一方、[C-11]MALAの取り込み量とALAをインキュベートした際に生成するプロトポルフィリンIX (PpIX) の量とは相関し、[C-11]MALAを用いたPETが腫瘍におけるPpIX蓄積量を予想できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[C-11]MALAの標識合成法を確立した。In vitroにおけるプローブの基礎的評価を行い、ALA投与時の腫瘍におけるPpIX蓄積量を評価出来る可能性を認めた。実験動物を用いたin vivo実験にも着手しており、研究は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
[C-11]MALAのPETプローブとしての有用性をin vivoにおいて評価する。すなわち、ALAおよび[C-11]MALAを生体内に投与した際の非特異的集積や排泄を評価するため、[H-3]ALAおよび[C-11]MALAをマウス尾静脈より投与し、一定時間後における放射活性の分布を経時的に解剖法およびPET撮像により検討する。また、[C-11]MALAの生体内における代謝安定性を評価するため、[C-11]MALAを投与後、一定時間後に関心臓器を摘出し、放射活性の化学形をHPLCやTLCを用いて分析する。腫瘍細胞を移植し、腫瘍片を形成させた腫瘍モデルマウスに[H-3]ALAおよび[C-11]MALAを尾静脈より投与し、一定時間後における関心臓器の放射活性を解剖法およびPET撮像により検討する。さらに[C-11]MALAのin vivoにおける腫瘍取り込みび蓄積がALA投与時のPpIX蓄積量を反映する事を確認するため、別途非放射性ALAを腫瘍モデルマウスに投与し、腫瘍へのPpIX蓄積性を算出し、[C-11]MALA集積量とPpIX量の比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施した腫瘍細胞株を用いた評価において、[C-11]MALAの取り込み量およびPpIXの蓄積量に偏りが生じ、より詳細な評価を行うためには、多様な腫瘍モデルの使用が求められた。腫瘍モデルの選択や準備に時間がかかっているため、次年度使用額が生じた。 平成26年度に異なる腫瘍細胞を用いた追加実験を行う予定である。
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