2013 Fiscal Year Annual Research Report
線溶因子を介したVitronectinプロセッシング制御と細胞死制御機構の解明
Project/Area Number |
25861143
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
羽澤 勝治 独立行政法人放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 博士研究員 (40622460)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Vitronectin / PAI-1 / プロセッシング / 放射線 |
Research Abstract |
Vitronectin (VN)は主に肝臓で産生される。この時、プロテアーゼ(Furin)による切断(プロセッシング)を受け、2種類のフォーム(全長型VN75・切断型VN75/10)が存在する。このVNフォーム形成過程に対する線溶系因子Plasminogen Activator Inhibitor 1 (PAI-1)の影響を検討し、以下の結果を得た。 ヒト組み換え型たんぱく質を用いた解析から、rVNとrFurinを至適条件下で反応させるとすべてのVNが切断型VN65/10になった。この時、rPAI-1が存在することで、FurinによるVNのプロセッシングは阻害された。また、大腸菌発現系で精製した野生型rPAI-1WT及びVNとの結合性が弱い変異型rPAI-1MTについて検討すると、rPAI-1MTはrPAI-1WTに比べてrVNプロセッシング阻害効果は弱かった。 VN及びPAI-1遺伝子をHEK293細胞に共発現させると、VN遺伝子単独発現に比べVNのプロセッシングは強く抑制された。この時、共発現した細胞では全長型VN75が細胞外(培養液中)に放出されていた。さらに、共発現細胞では細胞内及び養液中のVNはPAI-1と複合体を形成していた。 放射線被ばくした肝臓由来癌細胞HepG2はPAI-1の上昇、及びVNプロセッシングの抑制が認められた。放射線照射後のHUVECに対する生存支持効果はrVN(全長型VN75・切断型VN75/10)とrFurinで処理した切断型VN75/10を比較すると、rVNは切断型VN65/10よりも強い活性を示した。 以上のことから、組織傷害時に誘導されるPAI-1はVNと結合し、FurinによるVNプロセッシングを抑制し、細胞死抑制効果の高い全長型VN75の放出を制御していることが明らかになった。
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