2014 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植におけるmarginal donor graft適当拡大に関する研究
Project/Area Number |
25861153
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
栗山 直久 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80525329)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 虚血再灌流障害 / 活性化プロテインC / AMPK / ATP / 脾臓摘出 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪肝グラフトによる生体肝移植や、脂肪肝に対する大量肝切除は、正常肝に比べて障害が重度で、かつ遷延することが知られている。その大きな要因は脂肪肝における肝虚血再灌流障害である。本研究はその障害機序の解明と、それに対して活性化プロテインC(APC)、ノルアドレナリン、脾臓摘出が細胞保護効果を発揮出来るかを検証することである。
まず脂肪肝マウスを用いて虚血再灌流障害を再現し、正常肝と脂肪肝における障害機序の違いと、APCの細胞保護効果を検討したところ、正常肝においては細胞浸潤と内皮障害を抑制することで細胞保護効果を発揮していたが、脂肪肝においては、細胞浸潤を抑制していたが、内皮障害の抑制を確認することが出来なかった。よってさらに検討を進めると、APCを投与した脂肪肝モデルでは、AMPK活性が上昇し、さらに肝細胞壊死が著明に抑制されていた。よってその機序を確証するために脂肪肝ラットから肝細胞を分離し、過酸化水素にて障害を与え、APCを加えてみると、AMPK活性が上昇し、細胞内のATP減少が著明に抑制され、細胞の生存率が改善されていた。これはAPCがEPCRに結合し、PAR-1を介して、AMPKを制御し、ATP減少を抑制し、細胞保護効果を発揮すると結論づけことが可能となり、現在この内容を投稿中である。
また脂肪肝マウスの虚血再灌流障害であるが、脾臓摘出術を付加すると、再灌流後6時間と24時間で明らかなGOT/GPTレベルの改善と、組織障害の抑制を認めており、現在は細胞保護効果のメカニズムの解明を行っている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高脂肪食における脂肪肝マウスの作成に難渋したことが大きな問題である。その原因は脂肪肝になるまでの飼育に3ヶ月近く要し、かつ個体差が大きく、一定した均一な脂肪肝マウスを得るのが予想以上に難しいことである。
また当初の予想に反して、活性化プロテインCの細胞保護効果について、新たなメカニズムがあることが判明し、それの確認実験に時間を要したことが遅れた要因の一つでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3つに重点をおいて実験をすすめている。 1)活性化プロテインCの細胞保護効果のさらなるメカニズムの解明。 2)脂肪肝虚血再灌流障害の脾臓摘出術の細胞保護効果のメカニズムの解明。 3)ノルアドレナリンの脂肪肝肝細胞内脂肪滴の分解作用の解明。
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