2013 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド様物質GITRLを介した癌細胞によるNK細胞免疫回避機構の解明と制御
Project/Area Number |
25861156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大平 真裕 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 特任助教 (30397947)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NK細胞 / 肝細胞癌 / 自然免疫 / GITRL |
Research Abstract |
本研究の目的は、癌細胞から放出されるステロイド用物質(Glucocorticoid-induced TNF receptor ligand; GITRL)がナチュラルキラー(NK)細胞の活性を低下させるメカニズムを明らかにし、プレコンディショニングによるNK細胞活性維持を治療法として臨床応用に展開するための研究基盤を確立することである。 GITRLによるNK活性低下メカニズム解析について、末梢血及び肝臓内NK細胞上のGITR(GITRLのレセプター)発現をフローサイトメトリーで解析した。肝臓内NK細胞のGITR発現は、末梢血より有意に高値であった(MFI, 12.2 vs 9.9; p < 0.05)。また、IL-2, IL-15で刺激すると、GITRの発現は有意に増強した(MFI, 46.9 vs 12.0; p < 0.05)。この結果から、NK細胞をサイトカイン刺激でプレコンディショニングすることで、GITRLからの抑制シグナルを回避しうる可能性が期待できる。肝癌細胞株を含む各種癌細胞株のGITRL発現をフローサイトメトリーで確認した。肝臓癌細胞株(Hep3B, HepG2, Huh7)に関しては、GITRLの発現は陰性であった。つまり、細胞株を用いたin vitro実験系では、GITTLのトランスフェクションが必要となるため現在検討中である。 肝臓癌組織中のGITRL発現と腫瘍浸潤NK細胞の解析について、肝臓内NK細胞の解析を行った。肝細胞癌患者の肝臓内NK細胞上のGITR発現は、肝細胞癌を持たないそれよりも低下していた(MFI; 21.6 vs 10.2)。NK細胞上のGITRは、サイトカイン刺激により発現が増加する活性化マーカーとも考えられており、肝細胞癌患者の肝臓内NK細胞活性が低下していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点ではおおむね順調に進展している。In vitroモデルからin vivoモデルへの移行を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では、おおむね順調に進展していると考える。GITRLによるNK活性メカニズム解析において、肝癌細胞株上のGITRL発現が安定して得られていない。新たな肝癌細胞株購入、培養条件の変更、GITRLのトランスフェクションが、対応策として考えられる。今後これらの問題点を解決しながら研究を推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入が予定より若干少なかったため。 翌年度の物品購入費として使用する計画。
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