2014 Fiscal Year Annual Research Report
ステロイド様物質GITRLを介した癌細胞によるNK細胞免疫回避機構の解明と制御
Project/Area Number |
25861156
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大平 真裕 広島大学, 大学病院, 病院助教 (30397947)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | NK細胞 / 肝細胞癌 / ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
ナチュラルキラー(NK)細胞はIL-2で刺激すると、活性化レセプターCD69, NKp44や抗腫瘍分子TRAILの発現が増加し、肝癌細胞株に対する細胞傷害性が増強する。ステロイド存在下では、抗腫瘍分子の発現が減弱して細胞傷害活性も低下した。本研究の目的は、癌細胞から放出されるステロイド用物質(Glucocorticoid-induced TNF receptor ligand; GITRL)がNK細胞の活性を低下させるメカニズムを明らかにし、プレコンディショニングによるNK細胞活性維持を治療法として臨床応用に展開するための研究基盤を確立することである。 まず、GITRLのレセプターであるGITRの発現形態を明らかにした。健常人の肝臓内NK細胞は、末梢血と比較して有意にGITRの発現が高値であった。また、IL-2, IL-15で刺激することによりGITRの発現が増強していた。さらに、肝臓癌患者においては、肝臓内NK細胞上のGITRが有意に減弱していた。つまり、NK細胞のGITRは活性化マーカーの位置づけのみならず、サイトカイン刺激でプレコンディショニングすることで、GITRLからの抑制シグナルを回避しうる可能性が期待できる。 組換え型GITRLがNK細胞の表現型及び機能を変化させることを確認した後、GITRL発現腫瘍株がNK細胞に及ぼす影響について検討することとした。しかし、過去の文献上GITRL発現が報告されているHCT116, MDF7などを様々な条件下で確認したが、発現を認めなかった。GITRLを発現していない肝癌細胞株(HepG2, Hep3B, Huh7)にGITRLのトランスフェクションを行った。一時的な発現は見られるものの、現時点では安定した発現が得られていない。引き続き条件設定などを継続していく予定である。
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