2014 Fiscal Year Annual Research Report
非ウイルス性肝炎の発症・進展におけるSIRT1遺伝子の役割と革新的治療法の探索
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25861197
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小西 秀幸 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80634211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非ウイルス性肝炎 / SIRT1 / NAMPT |
Outline of Annual Research Achievements |
SIRT1はニコチンアミドジヌクレオチド(NAD)依存性ヒストン脱アセチル化酵素である。本研究では、非B非C肝炎におけるSIRT1発現の意義を検討した。 非B非C肝細胞癌非腫瘍部組織を用いて、SIRT1遺伝子発現量を、免疫組織化学染色を用いて、SIRT1陽性細胞を検討した。SIRT1活性の指標として補酵素NAD量、NAD量を調節するNAMPT遺伝子発現量に加えて、ヒストンアセチル化の程度を検討した。免疫染色、並びに肝癌細胞株において、SIRT1発現誘導機構を検討した。細胞株において、SIRT1の炎症性ケモカイン発現に与える影響を検討した。 非B非C肝癌非腫瘍部において、SIRT1発現は健常肝と比して高値で、脈管周囲の肝実質細胞が染色陽性であった。補酵素NAD量、NAMPT発現量は低下しており、SIRT1活性の抑制が示唆された。肝組織内のヒストンアセチル化が亢進しており、SIRT1活性の低下を支持していた。肝癌細胞株を低酸素状態で培養した結果、HIF1、SIRT1の誘導が認められた。肝組織内のHIF1とSIRT1の発現分布を比較したところ、関連は非B非C肝内においても認められた。高グルコース培地を用いてNAD低下状態に誘導した結果、HepG2は低酸素条件下において、ケモカイン発現を誘導した。低グルコース培地によるNAD量の回復、SIRT1活性化剤の添加によって、ケモカイン発現誘導は著しく抑制された。 SIRT1の発現レベルの上昇とは反対にSIRT1の活性低下が認められ、この活性低下が非B非C肝炎の炎症に関与していることが考えられた。 非アルコール性肝炎モデルマウスでの検討の結果、SIRT1発現の亢進は認められなかった。NAMPT発現量は低下しており、病態とNAD量の低下の関連が示唆された。反対に、細胞株では低酸素状態においてNAMPTの低下は認められず、SIRT1発現の上昇と、NAMPT発現の低下には別の機構が働いていると考えられた。非B非C肝においてNAD量の調節によってSIRT1の活性を回復させることが、新たな治療となる可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)