2014 Fiscal Year Research-status Report
肝癌特異的な変異遺伝子ARID2の肝癌エピゲノム異常誘導機構の解明
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25861221
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
古田 繭子 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 特別研究員 (00647183)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ARID2 / 肝がん / がんゲノム / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、すでに完了していた肝癌の全ゲノムシークエンスを施行した合計245症例についての点突然変異検出パイプラインの改良と他のゲノム異常検出パイプラインの構築を行い、再解析が完了した。解析パイプラインの改良により、より高精度に変異の検出が完了したとともに、点突然変異に加えてゲノム構造異常のリストの作成が完了した。その結果、最終的にARID2遺伝子内には合計27症例において点突然変異を検出し、そのうち24症例については機能欠損型の変異であった。さらに新たに施行したゲノム構造異常検出においては15箇所のARID2遺伝子内ゲノム構造異常が検出され、サンガーシークエンスによる検証の結果、このうち9つについて癌特異的なゲノム構造異常が確認できた。従って、機能欠失型変異とゲノム構造異常を合わせた結果、ARID2は約13% (33/245)の肝がん検体において変異を有することが明らかとなり、これは過去の点突然変異のみを用いた結果よりも高頻度であり、肝がんにおけるARID2変異の重要性を示唆する。本年度の追加解析によって新たに追加されたARID2変異を加え、肝がんで検出された機能欠損型変異の影響を検証するための各変異を模倣したARID2発現コンストラクト作成を完了した。今後肝癌で検出されたARID2変異の詳細な機能解析を行い、肝癌に特徴的なARID2変異とトランスクリプトへの異常の相関関係について詳細な解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全ゲノムシークエンスの変異検出パイプラインの充実により、ゲノム構造異常についても検出が完了した。ゲノム構造異常は遺伝子に与える影響が大きい重要な変異であるため、これらを加えて肝がんにおけるARID2変異頻度を考察する必要があった。新たに検出された変異の追加により、肝がんにおけるARID2変異頻度がより高頻度であることが明らかとなり、その重要性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
肝がんにおける点突然変異を模倣した発現コンストラクトを用いて、各変異のARID2機能における影響を検討し、肝がんにおけるARID2変異の意義を明らかにし、報告する。
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Causes of Carryover |
全ゲノム解析症例の追加と解析手法の改良により、あらたに複数のARID2変異症例が発見された。これらの追加症例についても同様に変異体発現コンストラクトを作成し、解析対象に加えた。変異体コンストラクトの完成を待って、結合タンパクとの相互作用の検討を行うため、現時点での抗体の購入を見送った。 最終的な研究の報告も、これらの新規変異を加えた形で行う予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ARID2結合タンパクの抗体購入、研究成果の学会発表と学術誌投稿の費用に充てる事としたい。
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