2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861236
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
西田 憲史 久留米大学, 医学部, 助教 (50624508)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / ピオグリタゾン / 塩分過剰 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈解離は大動脈中膜が突然断裂する致死的疾患であるが、その病態はほとんど解明されておらず、発症や進展に関わる因子も不明である。申請者独自の大動脈解離モデルマウス及びヒト解離組織をチアゾリジン系薬物(ピオグリタゾン)の効果と分子機序を明らかにすることを目的として研究を進めた。 まず、大動脈解離マウスモデルの組織学的検討を行った。野生型マウスを用いて塩化カルシウム処置、アンジオテンシンⅡ負荷を行うことで、腹腔動脈、上腸間膜動脈分子部にエラスチン破壊、炎症反応浸潤が起こり、それが経過とともに治癒機転が働くことが明らかになった。さらにDNAマイクロアレイ解析から、発症前の大動脈組織では炎症関連遺伝子の発現亢進とECM関連遺伝子の抑制が起こっていた。この遺伝子発現変動は、過去に報告されたヒト大動脈解離組織での発現変動と極めて類似していた。 このモデルを使用しピオグリタゾン投与を行ったところ、予想に反して大動脈解離病変の増悪を認めた。そこでピオグリタゾンが抗炎症作用の他にNa貯留作用を有することに着目した。Na過剰は心血管イベントの危険因子であり、炎症応答の中心的役割を果たすIL-17を活性化させることが報告されている。そこでNaCl過剰が大動脈解離を増悪させる可能性を検証した。NaCl過剰状態で解離モデルを作成したところ、IL-17依存性に大動脈解離が増悪することを発見した。さらにDNAマイクロアレイ解析により、IL-17がECM代謝を抑制していることが明らかになった。 以上のことから、大動脈解離増悪にIL-17経路とECM代謝が関与している可能性が示唆された。これまでピオグリタゾンとIL-17の関与については報告がなく、ピオグリタゾン投与による大動脈解離増悪のメカニズムにおけるIL-17とECM代謝の関与を検討すべく研究を継続している。
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Research Products
(13 results)