2013 Fiscal Year Research-status Report
肺移植後の慢性閉塞性細気管支炎の病態解明及び治療法の開発
Project/Area Number |
25861240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 秀海 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60422226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺移植 / 拒絶反応 / 肺再生 / 自己免疫 |
Research Abstract |
本研究の主目的は、肺移植後の最大の長期予後規定因子である慢性拒絶反応(慢性閉塞性肺疾患:OB)に関する病態解明と治療方法の開発である。実際OBの研究は長年行われてきているもののその発生機序に関しては依然不明のままであり、マウスを使った基礎実験に期待が寄せられている。まず、本年のテーマとして免疫反応の主役の一つである樹状細胞に注目し、肺移植におけるドナー抗原認識のための樹状細胞の役割についての検討を取り上げて実験を施行した。まず樹状細胞には骨髄系(mDC)と形質細胞様(cDC)の2種類の亜系がありそれぞれを抗体注入法にて欠失させ、そのマウスのリンパ球解析からその効果をフローサイトメトリーにて立証を行った。このマウスをドナーとして用いてMHCミスマッチのマウスと肺移植を行った。ワイルドタイプをコントロールとして、それぞれmDCの欠失、pDCの欠失、両方の欠失を有するマウスに移植を行い4群間の比較実験を遂行した。それぞれの群より移植した肺を摘出し、病理学的に拒絶反応をスコア化し、さらに縦隔リンパ節を採取してTリンパ球を抽出し、さらにビーズでmDC、cDCを分離し、ドナー抗原を加えたリンパ球混合反応でその機能の解析を行った。病理診断では、mDC、cDCのいずれか一方では拒絶の抑制はわずかだが、両方欠失させた場合は有意に拒絶反応が抑制されていた。さらにmDC、pDCともにドナー抗原とはそれぞれ特異的な反応を示し、サイトカインの発現もどちらか一方に依存しているものでは無かった。以上の結果より肺移植後の免疫反応に関して、樹状細胞は重要な役割を果たしており、それぞれの亜系が個々の作用を有している可能性が示唆された。この結果を第9回肺移植カンファレンスプログラムにて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としている樹状細胞の実験に関してはほぼまとまった状態である。もう一つの液性免疫の関与に関してはまだ土台の準備を行っている最中であり、実験の継続中である。さらに今後予定するマウスのII型肺胞上皮細胞を経気管的に投与を行い拒絶反応の抑制効果を調べる実験を行うために必要な条件を整えていく必要があったが、まだ基礎的な段階である。2年以内に実行できる実験とするための準備を整えて行く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の目標である間質性肺炎の治療薬として用いられているピルフェニドンという抗線維化薬を使った肺移植後の免疫抑制効果の実験に着手する予定である。まず薬剤のマウスでの使用条件を確認、整えた上で実際のマウスの肺移植の周術期に投与を行う群とプラセボ群とで病理学的、免疫学的に比較解析を予定する。さらにその先に予定するII型肺胞上皮細胞の気管内投与を行うために必要な準備実験を並行して行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に予定していた実験が遅れており、購入予定であった試薬及びマウスの購入を行わなかったため。 平成26年度前半に平成25年度分の遅れた分の実験を行い、未使用額についてはそのための経費に充てる。さらに並行して平成26年度予定した実験に関しても予定通り開始していく。
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