2014 Fiscal Year Research-status Report
肺移植後の慢性閉塞性細気管支炎の病態解明及び治療法の開発
Project/Area Number |
25861240
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鈴木 秀海 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60422226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肺移植 / 拒絶反応 / 肺再生 / 自己免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、肺移植後の慢性拒絶反応(OB)に関する病態解明と治療方法の開発である。これまでの研究で軽度のマイナー組織適合抗原のミスマッチによる慢性拒絶反応モデルでは、肺移植後3週間後に約50%の確率でOBが誘導されることが明らかとなった。実際臨床でもすべての症例で慢性拒絶反応がおこるわけでもなく世界的には5年生存率が約50%であることとよく相関しておりこの病態が解明できればいまだ確立されていない治療方法の開発に繋がる期待がもてる。その病態はサイトカインのIL-17に依存的であることを突き詰めたがその詳細については未だ不明である。T細胞を介した細胞性免役が中心の役割を担っているが、抗体や補体などの液性免役も重要な役割を果たしている可能性がある。我々は以前ラットの肺移植で拒絶反応に補体(C4d)が関与していることを学会発表した。インディアナで行なった臨床での気管支肺胞洗浄液(BALF)の検討からOBに至った症例では優位に補体(C3a)が活性化されていた。補体とIL-17が相互に作用している可能性があり、それを基礎実験において各免疫学的解析を用いて証明を試みた。我々のモデルにおいても臨床データと同様に補体C3a活性がOB症例で上昇しており、vitroの実験でIL-17と正の関連をもつことを示した。またすでに他疾患で臨床応用されているC5a阻害作用を有する薬剤を想定してC5aを中和抗体でブロックした場合、OBが抑制されることが示され治療薬開発の糸口になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標としている液性免疫に関する研究やノックアウトマウスを使用した研究はデータが蓄積されつつあるものの、ピルフェニドンを使用した治療に関する計画が準備段階である。治療量の設定や、評価方法などの基礎的な設定の準備を整えていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は目標である間質性肺炎の治療薬として臨床応用されている抗線維化薬のピルフェニドンを用いた実験の着手を進める予定である。その上で2型肺胞上皮細胞の気道内投与するラットの実験で用いていた基礎実験のマウスでの応用を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
実験の土台となる設定確立に時間がかかり主目的の実験に使用すべき消耗品を購入できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基礎実験の設定が確立次第、移植後の病態解明および治療開発に関する実験に使用予定です。
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