2013 Fiscal Year Research-status Report
呼吸器外科悪性腫瘍へ癌特異的蛍光プローブの適用、新規開発、臨床応用に関する研究
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25861241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北野 健太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70647073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌特異的蛍光プローブ / バイオイメージング / γ-glutamyltranspepidase |
Research Abstract |
肺癌の蛍光イメージングにあたり使用したプローブは、γ-glutamyl-hydroxymethyl rhodamine green (gGlu-HMRG)である。gGlu-HMRGはγ-GTP活性によって分解され、蛍光色素であるHMRGが蛍光を発する。γ-GTP活性は正常肺には発現しないとされている一方、これまで多くの癌腫で発現が認められている。われわれはgGlu-HMRGが肺組織において癌特異的な蛍光プローブの役割を果たすことを期待している。 まず5 種類のヒト肺癌細胞株を用いて、gGlu-HMRGを培地に投与することで各細胞に蛍光反応が認められるかを共焦点顕微鏡で観察した。5 種類のうち腺癌由来や大細胞癌由来では細胞1つ1つを蛍光として観測することができたが、小細胞癌由来や扁平上皮癌由来では認められなかった。肺癌の組織型ごとにgGlu-HMRGへの反応性が異なることが示唆された。また、それら細胞株lysateとgGlu-HMRGとの反応は、培地への投与と同様な結果であった。 次にヒト肺癌手術検体に対して、gGlu-HMRGを適用して実際の手術中のイメージングに使用することができるか、gGlu-HMRGへの反応性を検討した。これまで計60例の原発性肺癌に対して、蛍光画像数値化ソフトウェアを用い経時的に蛍光画像を撮影した。各画像における腫瘍および正常肺の、gGlu-HMRGの投与前後の蛍光強度差を計測した。ROC解析では肺癌診断率は感度48%、特異度82%であった。また組織型では腺癌に有意に反応することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究で、細胞系のvitro実験から、ヒトサンプルを用いた解析まで幅広い分野で蛍光probeの実用性について検討した。細胞系の実験においては、各種肺癌細胞株を活用して、各種解析に利用してきた。ヒト肺癌組織を用いた実験では、保存体制も注意を払い、現在まで順調に行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌手術検体のイメージングにおいては、転移性肺腫瘍や縦隔腫瘍に対するgGlu-HMRGの反応性を確認していく。また原発性肺癌に関しては、GGT1免疫染色を行い、蛍光画像すなわちγ-GTP活性との整合性を確認していく。肺癌検体については保存組織があるので、腫瘍部、正常肺についてRNAを採取し、ggt1の発現量をqRT-PCRを用いて解析し、同様に蛍光画像との整合性を証明する。 また今後は、gGlu-HMRG以外の蛍光probeが開発されており、HMRGにさまざまなアミノ酸を付け加えたものとして設計されている。これらについて、肺癌のイメージングに適するものをスクリーニングし、次の肺癌イメージングに使用可能なprobeを模索する。でできれば現在まで使用したprobe(gGlu-HMRG)が腺癌によく反応することから、腺癌以外の扁平上皮癌などに反応するprobeをターゲットとする。スクリーニングは、肺癌細胞株のライセートを用いることを予定している。 最終的には、いくつかの蛍光probeを用いて、手術中のナビゲーションの1つとして活用できることを目標とする。
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