2014 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器外科悪性腫瘍へ癌特異的蛍光プローブの適用、新規開発、臨床応用に関する研究
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25861241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北野 健太郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70647073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌特異的蛍光プローブ / バイオイメージング / 肺癌 / ヒドロキシメチルロダミングリーン |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌は日本人の死因のうち悪性腫瘍で1位を占める疾患である。肺癌症例には手術不能進行例が多く、診断技術の向上が急務の課題となっている。本研究で用いるgGlu-HMRG(γ-glutamyl hydroxymethyl rhodamine green)は、γ-GTPによって分解されることでHMRGが蛍光を発することを特徴とする新規の蛍光プローブである。γ-GTPは正常組織には発現しないとされている一方で、これまで多くの癌腫で発現が認められていることから、gGlu-HMRGが肺組織においても癌特異的な蛍光プローブの役割を果たし、新しい診断法となりうると考えた。 まず5種類のヒト肺癌細胞株にgGlu-HMRGを投与し、蛍光強度を検討した。腺癌由来や大細胞癌由来の細胞株では細胞1つ1つを蛍光として確認でき、これらの細胞株ではgGlu-HMRGが適用できることが示唆された。一方で小細胞癌由来や扁平上皮癌由来の細胞株では蛍光を認められず、γ-GTP活性は細胞種ごとに異なることが示唆された。 つぎに、計73例のヒト肺癌手術検体に対してgGlu-HMRGを適用して、その反応性を検討した。肺癌組織および隣接正常肺組織の蛍光強度を経時的に測定して、投与前に対する投与30分後の蛍光の変化率を求めた。ROC曲線に基づいて蛍光変化率の閾値を0.228に定めたところ、肺癌診断率は感度43.8%、特異度84.9%であった。臨床病理学的な検討では、蛍光は腺癌・女性・および非喫煙者で有意に高かった。 まとめると、ヒト肺癌細胞株での検討ではgGlu-HMRGは細胞種ごとに異なる反応性を示した。またヒト肺癌組織においてはgGlu-HMRGは感度43.8%、特異度84.9%の診断能を有した。gGlu-HMRGは、肺癌において新たな診断法として適応できる可能性が示唆された。
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