2014 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌術後再発を制圧するための新たなる治療戦略の構築
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25861242
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
前田 亮 愛知県がんセンター(研究所), 分子病態学部, リサーチレジデント (00648769)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌患者106名の切除標本において、肺の流出血管である肺静脈から血液を採取し、肺癌患者の血液中に含まれる炎症細胞(マクロファージ)と考えられるCD14+CD204+細胞数を解析した。原発巣組織内におけるCD204陽性単球/マクロファージ細胞数と肺静脈内のCD14+CD204+細胞数は有意に相関しており、また肺癌が進行するほど肺静脈内のCD14+CD204+細胞数が増加することを明らかにした。肺癌が進行するほど、術後遠隔転移再発は多いことから、血液中をcirculatingするCD14+CD204+細胞が術後遠隔転移再発に関わっている可能性が考えられた。そこで、血液をcirculatingするCD14+CD204-細胞を流入血管である肺動脈からsortingし、肺癌細胞株の培養上清で培養したところ、CD14+CD204+細胞に変化することを確認した。これらの細胞を癌細胞と共にマウスの尾静脈から尾静注し、肺転移数を計測したところ、CD14+CD204-細胞を尾静注した場合と比較し、CD14+CD204+細胞を癌細胞と尾静注した場合に肺転移数が有意に増加することを明らかにした。このことから、血液をcirculatingするCD14+CD204+細胞が術後の遠隔転移再発に関して促進的に働く可能性が示された。転移を促進させるCD14+CD204+細胞とCD14+CD204-細胞の遺伝子発現解析を行ったところ、CD14+CD204+細胞はMMP-9 の発現が有意に上昇しており、MMP-9阻害剤により、in vivo実験で転移が抑制されることを明らかにした。以上より、肺癌患者の循環する血液中の炎症細胞を解析し、肺癌術後の遠隔転移における役割を解明したことで、循環する炎症細胞をターゲットとした新たな術後補助療法へと展開するための研究基盤を確立することができた。
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