2013 Fiscal Year Research-status Report
喫煙肺腺癌特異的なエピゲノム異常を指標にした新規診断・治療標的遺伝子の同定
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25861245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
梶浦 耕一郎 徳島大学, 大学病院, 助教 (60596253)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 肺腺癌 / エピゲノム / メチル化 / 喫煙 |
Research Abstract |
喫煙が発症要因になっている可能性のある肺腺癌(喫煙関連肺腺癌)の「個別化医療」実現のため、特異的な新規エピゲノム異常標的遺伝子候補を臨床検体を用いた網羅的なCpGサイトのDNAメチル化及び発現解析により探索し、さらに検出した癌関連遺伝子候補の病態との関連を臨床検体での発現やin vitroモデルでの機能解析から解明することで、新規癌関連遺伝子の予防、診断、治療標的としての意義を検証することを目的としている。 まず、年齢・性別・病理学的所見・進行病期を一致させた喫煙者と非喫煙者の癌部と非癌部のDNAとRNAを手術検体の凍結標本より抽出し、infinium methylation assayで47万のCpGサイトを網羅的に解析した。非喫煙者と喫煙者の癌部と非癌部を対比させつつメチル化されたCPGサイトを抽出し、メチル化の程度や場所を検討し、メチル化で活性変化すると思われる候補遺伝子を10数個ピックアップした。発現解析(おもにreal-time-PCR)を施行しvalidationを行ったところ、候補遺伝子はひとつに絞られた。この遺伝子はマイクロアレイによる癌部正常部比較においてプロモーター領域のCpG islandは癌部で有意なメチル化を認めた。臨床検体を用いたreal-time-PCRでは有意に癌部で発現低下を認めた。また、候補遺伝子の発現が認められなかった培養細胞を用いて5-aza処理を行うと発現回復した。メチル化解析(パイロシークエンス)でも癌部でメチル化が有意に高いことが証明できた。免疫染色にて癌部は不染となり、正常部では染色される傾向を認めた。培養細胞でノックダウンを行うと増殖が促進され、強制発現細胞では増殖が抑制される傾向がcellカウントにより認められた。これらの解析によりメチル化で不活性化した癌抑制遺伝子候補のvalidationを施行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果としては候補遺伝子がメチル化により不活性化した癌抑制遺伝子であることを示唆できており、順調に経過していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度の実験結果で、新規の癌抑制遺伝子候補はメチル化発現解析にてvalidationすることができた。2014年度は以下のように計画している。 ①既知のゲノム異常であるEGFRやKRAS、BRAF、EML4-ALK遺伝子との関連を調べる。既知のゲノム異常であるEGFR、K-ras、BRAF、EML4-ALK遺伝子についても同一検体で検討し、エピゲノムな異常である候補遺伝子との間に関連性があるかどうかを検討する。 ②臨床データを用いて癌関連遺伝子が予後に与える影響を調べる。新規癌関連遺伝子の免疫染色を別の組織標本に対して行い、候補遺伝子陽性の肺腺癌と候補遺伝子陰性の肺腺癌の割合を調べる。また、臨床データを結合し、候補遺伝子が予後や進行度に与える影響を明らかとする。また、培養細胞を用いた候補遺伝子の強制発現やノックダウンの実験は2014年度に計画していたが、2013年度に終了している。当初の実験計画に加えて、同定された候補遺伝子がin vivoでも機能するのかどうかを検証するために動物実験を新たに計画した。 ③癌関連遺伝子を強制発現させた培養細胞をSCIDマウスに投与し、in vivoでも癌抑制遺伝子として機能するかどうか調べる。これはもともと候補遺伝子の発現が認められなかった培養細胞であるA549にこの遺伝子を強制発現させたものと発現させなかったものを用意し、SCIDマウスに皮下注入する。徳島大学には動物用CTもあるためにCTにて継時的に大きさを計測し、増殖速度を比較する。これらの実験によりin vitro及びin vivoでも癌抑制遺伝子であるということをvalidationできると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度科研費残額647,868円をH26年度に繰り越したが、これはinfinium methylation assayの450K BeadChip2枚分に相当している。この2枚のBeadChipは当研究室に在庫としてあったもの使用したため、経費として計画したもののH25年度は科研費としては使用していない。450K BeadChipを用いる実験がH26年度に計画されており、その際には使用した在庫を補填するために計上する予定である。このようなことをしたのは実験に用いるchipには使用期限があるためである。 H26年度科研費使用計画としては、分子生物学実験関連試薬(発現解析、強制発現系構築、infinium methylation assayの450K BeadChip等)を900,000円、免疫染色、タンパク実験関連試薬・消耗品(抗体等)に400,000円、細胞培養関連試薬に100,000円、一般実験消耗品に100,000円、動物実験に200,000円、研究発表費用に100,000円を計上する。
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Research Products
(1 results)