2014 Fiscal Year Research-status Report
敗血症における臓器障害保護をめざした一酸化炭素供与体のより安全な投与法の確立
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25861247
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
水口 真二郎 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 病院講師 (10464629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一酸化炭素 / 急性炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では敗血症治療として、水溶性一酸化炭素供与体(CORM-3)を用いた敗血症モデルにおける臓器保護効果その機序を解明する。 【平成25年度】一酸化炭素供与体投与が敗血症病態への影響を評価するため、マウス腹膜炎敗血症モデルを作製し、これらにCOを経静脈的、腹膜的、経気道的に投与し投与方法の違いによる作用機序差異を検討した。結果、経静脈、腹膜的投与では敗血症モデルにおける肺急性障害はほぼ同等に制御するが、生存率延長には寄与しなかった。経気道的投与では炎症制御効果は乏しく、経気道投与そのものにより炎症が惹起された可能性が示唆される。これらより経静脈、腹膜投与の有効性が期待される。 【平成26年度】異なる投与方法によりCO暴露される細胞が異なる。すなわち経静脈的であれば血管内皮細胞、好中球、マクロファージ、経腹膜的であれば腹膜細胞、マクロファージ、経気道であれば気道上皮細胞、マクロファージであると考えられる。平成25年度のin vivo結果に基づき血管内、腹腔内、気道内いずれにも存在するマクロファージ(NR-8383ラット肺由来)を用いて細胞特異的影響を検討した。マクロファージには感染時に誘導されるM1型、創傷治癒、がん転移に関与するM2型が知られる。同細胞株は培養中にM2型(mannose receptor発現)に誘導されるが、CO暴露3-6時間後ではM1型(iNOS発現)に誘導され、24時間後にはM1,M2型への誘導がともに抑制された。LPS/IFNγ刺激によるM1誘導、IL4/13刺激によるM2誘導を行うと、CO投与によりM1誘導は抑制、M2誘導の抑制(ともに24時間)を認めた。これら結果よりいずれの刺激に対しても抑制的に働くが、CO単独投与のみでは短期的にはM1型に働く可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当実験では当グループの大学院生とともに手技、指導,カンファレンスしながら施行している。共に臨床に従事する外科医であり、日程調整などで軽度進行の遅れがあります。しかしながら、手技改善されてきており進捗速度は改善されています。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りの進行が可能と考えます。 主にin vitroでマクロファージの細胞株を用いて一酸化炭素の影響を、単回・反復刺激で確認予定です。
【平成27年度】 COによる単一刺激ではM1,M2いずれの分化が抑制される結果となった。さらには継時的(3,6時間ではCO単独投与でM1誘導、24時間にはM1抑制)で変化を認めるため今年度では、反復刺激による実験追加、およびTGF-β m-RNAなど上流のシグナルを検討予定である。
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Causes of Carryover |
実験の進捗状況は概ね順調であるが、まだmRNAのシグナル解析まで進行しておらずプライマーなどの購入まで至っていない。またヘパリン結合蛋白への解析も進行していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果を国際学会、国内学会での発表を予定、また今回の結果を学術論文へ投稿予定である。また今年度の追加実験にてシグナル解析およびヘパリン結合蛋白に対する抗体などの購入予定である。
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