2014 Fiscal Year Annual Research Report
神経膠芽腫におけるホメオタンパク質の機能解析と特異的ペプチドの機能評価
Project/Area Number |
25861269
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷川 仁紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (10454381)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経膠芽腫 / 浸潤 / 転移 / EMT / ホメオボックスタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経膠芽腫はそれがもつ高い浸潤能と増殖能ゆえに、治療が非常に困難であることが知られている。現在まで多くの研究が行われ、そのメカニズムの解明に多くの時間が費やされてきた。しかし、それにもかかわらずその治療法は未だ確立していないのが現状である。我々は、新たな治療法開発のきっかけを導くべく、新たな神経膠芽腫悪性化のメカニズムを発見しようと試みた。申請者は独自の方法を用いて、神経膠芽腫を制御する新たに7つの制御因子を同定した。これらの因子は神経膠芽腫にて発現が亢進しており、特に臨床サンプルを用いたリアルタイムPCRの解析では、特にPRRX1が神経膠芽腫特異的に高い発現を示すことが明らかとなった。我々は神経膠芽腫細胞株においてもPRRX1の発現亢進を同様に確認したことから、まずはPRRX1の細胞における役割を解明することを試みた。細胞株にshRNAを導入した各種実験によってPRRX1は浸潤能を制御する重要因子であることを明らかにした。またin vivoでの確証を得るために、マウス脳に対する細胞株の移植実験を行った。その結果、PRRX1の発現を抑制した神経膠芽腫細胞株では発現亢進している細胞株と比較して、移植マウスの生存を3倍に伸ばすことが分かった。さらにPRRX1の分子機能を明らかにするために、質量分析機器を用いた結合タンパク質の解析を行った。その結果、数個のEMT関連蛋白質が結合することが明らかとなった。また、転写因子であるPRRX1が発現制御する遺伝子を明らかにするために、マイクロアレイによる解析を行った。その結果、細胞接着に重要ないくつかの遺伝子がPRRX1によって制御されていることを明らかにした。以上の結果から、PRRX1は細胞接着を制御し、かつそれが結合するEMT関連タンパク質へのシグナルを制御することにより神経膠芽腫悪性化において重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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