2014 Fiscal Year Research-status Report
免疫抑制環境や腫瘍再燃に応答する遺伝子改変武装化T細胞の開発
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25861270
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Research Institution | National Hospital Organization Nagoya Medical Center |
Principal Investigator |
大野 真佐輔 独立行政法人国立病院機構(名古屋医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (40402606)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | CAR / 免疫療法 / 遺伝子治療 / microRNA / 国際発表 アメリカ合衆国 / 細胞療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はmiR-17/92を発現するCAR発現T細胞の低免疫担癌マウスモデルにおける優位性を示すことができ、各学会にて発表を行い、最終的に論文として発表した(Ohno et al. Journal for ImmunoTherapy of Cancer 2013, 1:21)。この成果を国内はもとより世界に発信するために海外発表を行うことを企画し、米国の癌学会においてポスター発表を行った(American Association for Cancer Research(AACR), Annual Meeting 2014)。 免疫抑制環境や腫瘍再燃に対応する手段としてmiR-17/92のCAR発現T細胞内での発現を試み一定の成果を得たが、他の手段の開発をも目指した。 ひとつは近年血液腫瘍の領域においてImmunomodulatorと呼ばれるサリドマイド系の薬剤を併用したCAR発現T細胞療法の強化である。サリドマイド系薬剤は近年血液がんの領域で臨床に使われ始めている。レナリドミドはサリドマイド系の薬剤であり、これをCAR発現T細胞療法と併用することにより相乗効果を認めると仮説を立て、研究を進めた。レナリドミドとCAR発現T細胞療法の併用はCAR発現T細胞の単一療法に比して高い殺腫瘍効果を示し、その機能解明についても一定の結果を得つつあり、途中経過を学会にて報告した。 その他には腫瘍再燃の際に起こる腫瘍抗原の陰性化を回避するため新たな腫瘍抗原に対するCARの開発を進めた。これもまた開発に成功し、抗腫瘍効果と、グリオーママウスモデルにおける腫瘍縮小効果をみとめ、途中経過を学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標はCAR遺伝子の合成とmiR-17/92遺伝子の合成を行い、それぞれをレンチウイルスベクターに組み込んだ後、ヒトT細胞に導入し、これらの遺伝子の発現を確認することであった、これらの目標は早い時期に達成し、平成26年度の目標に進むことができた。 また平成26年度にはin vitroによる実験で作成された、CARの腫瘍特異的な殺細胞効果を確認し、かつmiR-17/92の発現によるアドバンテージを模索し、in vivoによる実験では脳腫瘍マウスモデルを確立した後、CARやmiR-17/92を発現するT細胞を用いた治療を行い、CARの腫瘍特異的な治療効果を確認するとともにmiR-17/92の発現によるアドバンテージを模索する計画であった。これらの計画もまたある程度の結果を得ることができこの結果を元に学会発表を行い、最終的に論文を公表することができた。すなわち研究計画は当初よりも早い時期に達成でき、さらなるCAR-T細胞療法の発展を模索することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は昨年度にほぼ達成できた当研究を更に進展させることを目標とした。すなわち免疫抑制環境や腫瘍再燃に対応するあらたなCAR発現T細胞療法の開発にまい進した。具体的には2つの異なるプロジェクトを計画した。ひとつは免疫改変薬とよばれる近年臨床領域で有効性が認められたサリドマイド系の薬剤によるCAR発現T細胞の腫瘍免疫能の強化であり、一定の成果を学会報告したが、今後は更に機能解明を含めた実験を進め、論文作成を達成する予定である。その他、腫瘍の免疫回避の手段とし知られている腫瘍抗原の非発現に対して新たな別の腫瘍抗原に対するCARの開発を行っている。こちらもある程度の成果を学会発表にて報告した。今後は更に実験を進め、まとまった結果を論文報告する予定である。
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Causes of Carryover |
NOGマウスは非常に高価で1回の試験でかなりの数を消費し、失敗を繰り返すと物品費用が数倍に跳ね上がるが、幸い3度の購入に留めることができ、当初計画した物品費用を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の実験においても動物実験が必要となるが、実験の性質上非常に高価な免疫抑制マウスを使用する。実験が順調に進まない場合には予定以上にマウスを使用する可能性があり、次年度使用額を次年度に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)