2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血における骨髄由来単球・マクロファージと自然免疫受容体(TLR4)の関与
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25861293
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
伊藤 圭介 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (70622934)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳虚血 / TLR4 / 自然免疫 / 骨髄由来単球・マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
自然免疫受容体[=TLR]ファミリーの中でTLR4は、骨髄由来単球・マクロファージ[= MMφ](中枢神経系ではマイクログリア[= MG])等の貪食能を持つ細胞の細胞膜表面に発現し、炎症反応を引き起こす事が知られている。近年脳虚血の病態機構に各種炎症性サイトカインを含む免疫系の及ぼす影響の重要性が認識されるようになっている(Nat Med.17:796-808, 2011)。中枢神経系で炎症反応を制御する中心的な細胞はMGであり、一般の免疫系とは異なる免疫応答を形成するとされ、骨髄由来のMMφの働きに関してはあまり検討されてこなかった。そこで本研究はTLR4ノックアウトマウス(KO)とその骨髄キメラマウス、更に初代培養細胞を用いて、MMφとMGが自然免疫受容体(TLR4)を介して脳虚血に及ぼす影響を詳細に検討した。具体的には、致死量の放射線を投与したTLR4 KOマウスのwild typeに、TLR4 KOマウスのhomo又はwild typeの骨髄を移植し、骨髄キメラマウスを作成する。作成した骨髄キメラマウスに脳虚血負荷を与えて、MMφでのTLR4の発現が虚血障害を増悪させるかどうかを検討した。その結果、脳梗塞量はwild typeの骨髄を移植した場合には510+-72.2 mm3であった。一方homo typeの骨髄を移植した場合には358+-48.8 mm3で有意に減少した。またニューロンとMMφとのco-cultureでは、hypoxia負荷をかけた場合、TLR4 KOマウスのwild type から誘導したMMφと共培養したときのみ、NOが産生され神経細胞死が誘導された。以上の結果から従来脳虚血とはあまり関係がないと考えられていた骨髄が、自然免疫受容体(TLR4)を介して重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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