2014 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞形成を制御する受容体RANKシグナルの機構解明とその応用
Project/Area Number |
25861297
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 祐 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20549472)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 骨免疫 / 破骨細胞 / RANK |
Outline of Annual Research Achievements |
骨疾患の新規治療方法を開発すべく、破骨細胞の分化メカニズムを詳細に解明することを目指して本研究を遂行した。破骨前駆細胞に発現する受容体RANKにおいて、分化誘導に必須な機能領域HCRを申請者は以前に見出しており、分子メカニズムの解明のためにHCRへ結合するタンパク質を探索した。前年度に実施したLC/MSを用いた解析により同定した候補タンパク質が実際に細胞内でHCRに結合するか調べたところ、全ての候補タンパク質はHCRに結合できず破骨細胞分化に関与しなかった。そのため、HCRをbaitとするyeast-2-hybrid法で結合タンパク質を探索し、10種の候補タンパク質を得た。この10種には既に分化に関与することが知られている分子が含まれており、新しいシグナル伝達経路を提唱することができた。 また、HCRと相同なアミノ酸配列で細胞膜透過性を持つペプチドで破骨前駆細胞を処理したところ、分化を抑制することができた。この結果は、骨疾患モデルマウスにこのペプチドを投与して治療効果が確認できれば骨疾患治療方法として新規提案できる可能性を示唆しているため、現在実施準備を進めている。 さらに、破骨細胞分化に関与する遺伝子を網羅的に探索する目的でマイクロアレイデータを解析し、前年度には破骨前駆細胞において強制発現することで分化を抑制する遺伝子を1つ、促進する遺伝子を2つ同定していた。今年度は抑制する遺伝子のKOマウスを入手し、骨構造を解析した。その結果、KOマウスの骨は骨密度が低下していることが明らかになり、この遺伝子は生体内で破骨細胞分化を抑制する機能を発揮していることが示唆された。 当初の研究計画からは若干の遅延が有ったが、破骨細胞分化へ関与する新規遺伝子の同定単離やHCR結合タンパク質の同定、またHCRペプチドの分化抑制効果の確認など計画時に予見した成果を挙げられたため、研究は概ね順調に遂行できたと考えている。
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