2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症及び骨折の新規治療標的としてのマイクロRNAに関する検討
Project/Area Number |
25861298
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
猪瀬 弘之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (30615711)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 骨代謝 / マイクロRNA / 骨粗鬆症 / 骨折 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の骨量は骨形成と骨吸収のバランスを調整する機構(リモデリング)により維持されている。そして、骨リモデリングの破綻による骨粗鬆症は、人間の罹患する疾患のうちもっとも頻度が高く、さらに今後増加が見込まれている。そして、骨粗鬆症は転倒に引き続く骨折をもたらす。また、骨粗鬆症性骨折はしばしば難治化し、外科技術の進歩した今日にあっても未だに治療に難渋することが多い。 近年の分子生物学の発展により、骨リモデリングの分子レベルでの理解が進んだが、不明な点も未だ多く残されている。これまでに、申請者は新たな視点から骨形成の分子機構を研究すべく、マイクロRNA(以下miRNA)の骨代謝における働きについて注目してきた。 今回の研究目的は、生体における骨量減少に対してmiRNAを標的とした新規治療法を開発することである。まず、我々は骨芽細胞分化に促進的に作用するmiRNAを同定すべく、骨芽細胞分化モデルにおいてmiRNAの発現について網羅的に検討した。すると、これまでに骨芽細胞分化においてこれまでに報告のないmiRNA-2137の発現が変動することが見出された。そこで、骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1及び初代培養骨芽細胞に対してmiRNA-2137を過剰発現すること、その分化は促進された。更に、MC3T3-E1に対してmiRNA-2137の発現をノックダウンすることにより、その分化は抑制された。また、qPCR法により、実際に骨芽細胞においてmiRNA-2137が発現していることを確認した。更に、マウス骨髄除去モデルにおいて、骨髄腔内にmiRNA-2137を注入することにより、negative control群と比較して有意な新生骨形成の増加を認めた。 以上より、miRNAによる骨芽細胞分化の新たな調節機構が明らかとなり、臨床的にも骨形成促進薬としてのmiRNAの可能性が考えられた。
|
Research Products
(5 results)