2014 Fiscal Year Research-status Report
Cathepsin Kの癌骨転移と腫瘍進展における役割
Project/Area Number |
25861304
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小澤 英史 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (60635572)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 腫瘍 / カテプシンK / 癌骨転移 / 遠隔転移 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、破骨細胞から産生される蛋白分解酵素である Cathepsin K(Ctsk)が乳癌や肺癌で骨病巣形成や拡大過程に果たす役割を詳細に解析することにより、Cathepsin Kを標的とした新規骨転移治療法の開発における基礎的データを蓄積することである。 乳癌・肺癌骨転移マウスモデルの作製のためCtsk欠損マウスと野生型マウスを用い、肺癌細胞を右脛骨内に注射し骨転移モデルを作成した。また、両群での腫瘍の大きさと骨破壊の程度を評価した。骨転移部位の評価を軟X線にて右脛骨に溶骨性転移巣が形成されたことを確認し、1週間ごとに撮影して溶骨部の大きさを測定した。 組織学的検討は還流固定後、パラフィン切片にてCtsk, RANKL, RANKなどの免疫染色、TRAPによる破骨細胞染色を行った。その後、光学顕微鏡を使用し細胞の局在や形態変化、細胞数や比率を解析し、TRAP陽性破骨細胞数や形態などを解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成25年度は肺癌と乳癌細胞を使用して骨転移マウスモデルを作製し、破骨細胞や腫瘍細胞から産生されるCtskの役割を明らかにした。8~10週齢の雌のCtsk欠損マウスと野生型マウスを供給することが、比較的困難な時期があった。脛骨内に注射し骨転移モデルを作製したが、肺癌細胞の成長が早く、ある程度骨破壊が進行し、骨内腫瘍周囲環境を観察するために最適な時期を設定してモデルをつくることが困難であった。免疫染色に様々な抗体を使用するため、たくさんの検体を必要とした。 平成26年度までにmicro-CTにて形態を計測し解析する必要があったが、CTが頻回に故障し、修理に長期間を必要とした。腫瘍内にどの程度のマクロファージが遊走され、前駆破骨細胞がどのように存在し、また腫瘍関連マクロファージ(TAM)や腫瘍関連線維芽細胞(TAF)が存在し病態に関与しているかの調査を、今後速やかに進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、乳癌細胞を同様にマウスに注射して2つの癌腫を用いて研究を進めながら、結果を報告していく予定である。更にマウスの数を増やし、M-CSF, マクロファージ表面受容体 (CD68・CD163・CD206), TAM marker (F4/80・CD34), TAF marker(FAP・FSP・SMA・Tn-C・Tsp-1・desmin・SL-1などのマーカーを染色できるように調整している。 Ctsk-/-マウスにて骨転移モデルを作製し、転移巣について観察した。CTK阻害剤による骨転移巣制御効果あるいは抗腫瘍効果の有無を今後調べる予定である。CTK阻害剤は骨破壊抑制効果ばかりか、骨腫瘍組織量が減少したという報告や、更に、CTK阻害剤は骨転移巣内で腫瘍成長因子を減少させる報告もされている。in vitroにおいてCTK阻害剤が癌細胞のinvasionを抑制したことが報告されている。今後in vivoを中心としてCTK阻害剤投与が骨転移や他の転移巣を抑制するかを調べていく予定である。
|
Causes of Carryover |
・故障によりμCTを十分に使用できなかったため、未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
・mRNAを解析するためのプライマーやreal time PCRの試薬およびWestern blootのための試薬の購入、μCTを使用して骨病変の変化を調べるために研究費を使用予定である。 ・研究結果の発表に関連する学会および論文校正費用、また研究に関連する書籍の購入費用に研究費を使用予定である。
|