2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25861319
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
川畑 智子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90600669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / MDM2 / HDAC1 / p53 / アポトーシス / MDM2阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチは罹患患者は人口の約1%弱であるが、慢性の病態であり一旦罹患すると生涯にわたり医療を必要とする。発症年齢は30代から50代であり依然、病態が不明ではあるが近年は治療のパラダイムシフトにより、TNFαやIL-6などのサイトカインをターゲットとした注射剤を中心とした生物製剤が台頭し、古典的DMARDでは得られなかった寛解となる患者も認められているが再発する場合も多い。問題点として、効果があるのは7割程度に限定され、薬価も非常に高価である。個人の負担だけではなく日本の医療費全体の問題となっている。今回、本研究では関節リウマチの病態を掘り下げ、エピジェネティック変化について、特にMDM2が果たす役割について注目した。以前報告した研究ではHDAC1とTNFαが正の相関を認めることを示した事から着想した。HDAC1がMDM2、p53と複合体を形成し相互調整をおこなっている可能性を考慮し、関節リウマチにおけるMDM2の役割について検討した。関節リウマチ患者の手術時の滑膜組織からリウマチ線維芽細胞を培養しTNFなどの刺激を加えMDM2阻害剤の有無について検討した。蛋白を抽出しMDM2阻害剤の投与群ではp53の発現が上昇しHDAC1も影響を受けた。次にTNFαやIL-1βの刺激により線維芽細胞が増殖し続ける原因として、アポトーシスに影響している可能性を考慮した。MTSアッセイを行い、サイトカインで刺激した後にMDM2阻害剤を使用した群と使用していない群では有意ではないが差を認めリウマチ線維芽細胞においてもアポトーシスに傾く傾向が判明。関節リウマチでは滑膜細胞が増殖し続けることが病因であり、MDM2の関与が考えられた。MDM2阻害剤はすでに海外では血液腫瘍など他の疾患で使用可能な薬剤であり、関節リウマチへの臨床応用が望まれる。
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