2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小見田 真理 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (90589194)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アポトーシス / 神経細胞 / 小胞体ストレス / 麻酔薬 |
Research Abstract |
目的:近年、麻酔薬による神経毒性が指摘されているが、発達過程の神経細胞や成人にも存在する神経幹細胞は感受性が高いと考えられている。吸入麻酔薬の暴露によって、急性の神経細胞死や長期的な認知機能障害の発生が助長される可能性が指摘されているが、その分子機序は明らかではない。本研究においては、我々が作製した小胞体機能が障害された遺伝子変異マウスを用いて、吸入麻酔薬の神経毒性の分子機序に小胞体機能がどのように関与しているのかを検討する。 25年度の研究実績:変異BiPノックインヘテロマウス同士を交配させ、妊娠18日目に妊娠マウスを3%のセボフルラン、対照妊娠マウスには酸素を3時間暴露させた。暴露後は飼育を続け、翌日に出産となる。 出生後の新生児マウスの脳標本を採取、半分は生化学的解析用に凍結保存、もう半分はパラフィン包埋標本から組織切片を作製し、病理変化を形態学的に観察した。また、IP3Rや小胞体分子シャペロンBiP、小胞体ストレス反応により発現誘導される蛋白質を免疫組織染色で検出、誘導される細胞死をTUNEL法などで検出した。 凍結保存した脳は、SDS蛋白サンプルを調整し、ウエスタンブロットを行った。IP3Rや小胞体分子シャペロンBiPやCHOPなどの発現を検出した。また、小胞体ストレス反応によって活性化されるリン酸化酵素を検出した。細胞死への過程を検討するために、caspase-3などの発現を検出した。 以上の検討を暴露群、対照群の妊娠マウス数匹を用いて行い、同腹の変異BiPノックインホモマウス、ヘテロマウス、野生型マウス間で、対照群との間で差異があるかどうか比較検討したところ、吸入麻酔薬曝露により変異BiPマウスの細胞や脳組織で変異BiPやCHOPの発現増大が見られ、タネル染色法で細胞死が多く観察され、吸入麻酔薬は小胞体機能を阻害する事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が25年4月から12月まで産前産後休暇、育児休暇を取得しており、研究の進行が一時中止となっていたため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、遅れている25年度の研究を遂行し、その上で26年度の研究を推進する。 26年度の研究予定:吸入麻酔薬による細胞障害の化学シャペロンによる抑制。 BiPは代表的な小胞体分子シャペロンであるが、4-phenyl butyric acidやdimethyl sulfoxideなどの、蛋白質の高次構造の形成、安定化や分泌輸送を促進する化学物質が知られている。また、胆汁の成分である、ursodeoxycholic acidにも、同様の機能がある事が知られている。こうした化学シャペロンを投与する事によって、小胞体への侵襲に対する抵抗性が得られる事が予想される。化学シャペロンとして、4-phenyl butyric acid (PBA)と、臨床応用も考慮し、内因性の胆汁酸の成分である、taurine-conjugated ursodeoxycholic acid (TUDCA)を用い、胚性線維芽細胞への吸入麻酔薬暴露実験の際に、吸入麻酔薬暴露1時間前に化学シャペロンを培養液に加え、同様の実験、解析を行う。化学シャペロンの投与時期、投与量も適宜検討する。 胚性線維芽細胞での実験で化学シャペロンの一定の効果が得られたならば、変異BiPノックインヘテロマウス同士で交配した妊娠18日目のマウスに適当量の化学シャペロンを腹腔内投与する。その後マウスを密閉容器に入れ、上記(平成25年度)と同様にセボフルランへの暴露を行い、生まれて来る新生児マウスの脳を形態学的、生化学的に解析し、化学シャペロンの神経細胞障害抑制効果を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が25年4月から12月まで産前産後休暇、育児休暇を取得しており、研究の進行が一時中止、出張を伴う学会発表も行わなかったため。 25年度に行う予定だった研究と本来の26年度に行うはずであった研究を遂行するため、必要な物品購入、研究者雇用、学会発表を、本来の26年度の予定よりも大幅に増量して行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)