2013 Fiscal Year Research-status Report
一塩基多型が1型リアノジン受容体の機能に与える影響についての検討
Project/Area Number |
25861376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原木 俊明 広島大学, 大学病院, 病院助教 (40403563)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 悪性高熱症 / 1型リアノジン受容体 |
Research Abstract |
吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬への暴露を契機に発症する致死的病態である悪性高熱症は、1型リアノジン受容体(Ryanodine receptor type1: RyR1)の機能亢進が原因とされている。これまでのところ、European Malignant hyperthermia Groupによって31の遺伝子変異が悪性高熱症の原因として認定されている。 認定された悪性高熱症の変異遺伝子のうち日本人からも報告されているp.Thr2206Argを導入した変異RyR1(Thr2206Ala-RyR1)を作成した。さらに、健常人から報告されている一塩基多型で、これまで機能解析が行われていないp.Gln3756gluを導入した変異RyR1(Gln3756Glu-RyR1)、及びThr2206ArgとGln3756Gluを同時に導入した変異RyR1(Thr2206Arg+Gln3756Glu-RyR1)の計3種類の変異RyR1を作成した。 作成した変異遺伝子のうちThr2206Ala-RyR1を遺伝子導入用細胞であるHuman Embrionic Kidney (HEK)-293細胞に導入し機能解析を行い、野生型RyR1と比較して受容体機能が亢進していることが確認できた。現在、Gln3756Glu-RyR1とThr2206Arg+Gln3756Glu-RyR1をHEK-293細胞に導入し、RyR1の機能を解析し、データを集積しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた3種類の変異遺伝子を作成し、それぞれの機能解析を開始することができている。悪性高熱症の原因とされるThr2206Ar-RyR1の機能が亢進していたことから、本実験系が問題なくRyR1の機能評価を行えていることが確認できた。 当初の予定では3種類の変異遺伝子(Thr2206Arg-RyR1、Gln3756Glu-RyR1、及びThr2206Arg+Gln3756Glu-RyR1)を全ての機能解析を完了することとしていた。本研究は、RyR1が約5000個の巨大タンパク質であることから、変異遺伝子の作成に時間を要する。しかし、一旦、変異遺伝子を作成することができれば、機能解析は比較的短時間で行うこと可能である。現時点で作成した残り2つの変異遺伝子の機能解析に着手できている。以上から本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、作成した変異遺伝子の機能を解析し、データを集積していくと同時に、当初の予定通り悪性高熱症の治療薬であるダントロレンの効果を検証する。 RyR1の変異の多くは、3つの遺伝子領域から報告されている。昨年度作成した変異遺伝子のうちThr2206Arg-RyR1は中央領域、Gln3756GluはC末端領域に位置する。本年度はさらに別の領域(N末端領域)で報告された一塩基多型を導入した変異遺伝子を作成し、RyR1機能を解析する予定である。 また、機能解析で得られたデータを分析し、それぞれの遺伝子変異が悪性高熱症の発症にどのような影響を与えているかについて検討、考察を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究機器(フレークアイス製氷機)の購入にあたり、874,000円で見積もっていたが、実際には見積額より安価で購入することができたため残高が発生した。 平成26年度の物品費(消耗品)、及び旅費として使用する予定。
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