2013 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬の心保護作用における影響 -グルカゴン様ペプチドー1の役割-
Project/Area Number |
25861377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 裕明 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 徳島大学特別研究員 (90467811)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / 虚血再灌流障害 / グルカゴン様ペプチド-1 |
Research Abstract |
マウスを人工呼吸下に開胸、血行動態を測定しながら、吸入麻酔薬であるイソフルラン刺激(APC刺激)を30分行った。その後、心臓冠動脈左前下行枝を30分間閉塞し、2時間の再潅流を行った。再び冠動脈を閉塞、Evans Blueを注入し心臓を取り出し、心臓をスライスし、TTCにて再染色を行い心筋梗塞サイズを測定した。それによると、APC刺激によって心筋の梗塞サイズは、コントロール群と比較して有意に減少することが確認された。このことは、以前の報告と同様の結果であり、この実験モデルを使用し、さらに以下のことについて研究を進めた。 グルカゴン様ペプチド―1(GLP-1)誘導体であるExendin-4、GLP-1受容体拮抗剤Exendinをコントロール群及びAPC刺激群に投与し、同様の虚血再潅流実験を行ない、GLP-1のAPC作用に対する影響を明らかにしようと試みた。その結果、Exendin-4によってコントロール群の心筋梗塞サイズが減少した。このことから、Exendin-4にはAPC刺激と同様の心保護作用が存在することが明らかとなった。また、Exendin-4およびAPC刺激を加えることで、心保護効果は同様に保たれた。さらに、APC効果を及ぼさない、低濃度のイソフルランにExendin-4を加えることで心保護効果が表れたことから、これらの効果が相補的に行われていることが推測された。つぎに、GLP-1受容体の拮抗剤をAPC刺激の前に投与することでAPC刺激による心筋保護作用が棄却されたことから、APC刺激による心保護作用が、GLP-1受容体を介していることが推測された。 以上のことから吸入麻酔薬の心筋保護作用とGLP-1の関連性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にある通りの進捗具合にて進行しているため、おおむね順調と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度における研究結果を踏まえて、各群の心臓を虚血-再灌流前に取りだし、ホモジナイズし、APC作用のメディエイター(PKA、Akt、PKC、GSK3β、NOS、Src、PI3K等)と考えられているこれらタンパクが増加しているかどうかをイムノブロッティング法にて検討する。さらに、GLP-1受容体抗体とメディエイターの抗体とを共に蛍光抗体反応させ、共焦点顕微鏡を使用しタンパクの局在を同定する。また、サンプルからmRNAを抽出し、リアルタイムPCRにて解析し、細胞内分子輸送経路モデルを確立する。
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