2014 Fiscal Year Research-status Report
抑うつ状態における心筋保護機構阻害因子の解明とその制御
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25861380
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
一ノ宮 大雅 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50404249)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 / 薬理学的ポストコンディショニング |
Outline of Annual Research Achievements |
抑うつ状態において虚血性心疾患患者の予後が悪化するという報告がなされるようになった。原因は明らかでないが、抑うつ状態における内在性臓器保護機構の障害が予後悪化の一因ではないかと考える。内在性心筋保護機構は様々な細胞伝達経路を介しているが、その一つとしてJAK-STAT系が挙げられる。またJAK-STATを活性化した再灌流後早期の保護効果にはPI3K-Aktの活性化が必要であり、JAK-STATの下流においてPI3-Aktが活性化されることが示唆されている。抑うつ状態では虚血ポスコンの作用が減弱し、STAT3とAktの活性が消失していたことが報告されている。そのためJAK-STATの活性化を介さずにPI3-Aktを活性化させることが、抑うつ状態において内在性臓器保護効果を発揮させるために重要な要素である可能性が高い。加えて、予測できない虚血イベントにも応用できるため、薬理学的ポストコンディショニング(ポスコン)法の開発は臨床的に非常に有用である。今回、抑うつ状態における内在性臓器保護機構抑制とその機序を明らかにし、抑うつ状態における有効な薬理学的ポスコンの確立を目的として研究を行う。 抑うつ状態における薬理学的ポスコンの開発として、正常、抑うつ状態ラットのラット心筋虚血再灌流モデルを用い、再灌流後臓器の短時間虚血、吸入麻酔薬であるセボフルラン、Rhoキナーゼ阻害薬である塩酸ファスジルの投与が心筋梗塞サイズに与える影響について検討する。 抑うつ状態ラットの作成が困難であったため断念した。 現在代替として、本研究において内在性保護機構解明のターゲットであった、JAK-STAT系の活性を介さずにPI3K-Akt系を活性化させる薬理学的ポスコンの開発の実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
先行研究をまねて実験を行ったが抑うつモデルを作成することができなかった。 そのため抑うつモデルを用いた実験を断念し、本研究の2番目の目的である分子細胞機構の解明を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
JAK-STAT系を介さずにPI3K-Akt系を活性化させる薬理学的ポスコンとして、塩酸ファスジルを主体に研究を行っている。現時点でJAK-2、mito KATP、COX-2阻害薬を用いることで保護機序の推測ができており、今後各メディエーター、エフェクタを直接活性化させる薬剤を用いることでさらなる機序の解明を行う。
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