2014 Fiscal Year Research-status Report
神経障害痛モデルでの不安・うつ症状と記憶・学習能力に対するポリフェノールの影響
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25861403
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
寺田 忠徳 産業医科大学, 医学部, 助教 (10399206)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 抑うつ症状 / 中枢作用 / 不安障害 / 学習障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
坐骨神経絞扼により神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawleyラットをペントバルビタール麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-silk 糸で4 箇所緩く結紮すると処置後4日目から患肢に機械的・熱的・冷的痛覚過敏が発現した。対照には坐骨神経の剥離・露出のみを行うSham 手術を施した。1週間後にUgo Basile社製の圧刺激疼痛閾値測定装置を用いて痛覚過敏が認められたラットのみを実験に用いた。薬物を髄腔内に投与するため大槽から尾側に向かってポリエチレンカテーテル(PE-10)を8.5 cm 挿入した。また脳室内に投与するためラット右側脳室に22G のステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0 mm 挿入し頭部に固定した。脳室内投与には29G の注入用カニューレ、髄腔内投与には30Gのハミルトンシリンジでクロロゲン酸、ルテオリン、クルクミンを0.5-2.0mg/10μL投与し、30分後に①オープンフィールド(OF)試験②高架式十字迷路試験③強制水泳試験を行いビデオ行動解析システムを用いて不安、抑うつ行動に対するポリフェノールの作用を調べた。クロロゲン酸およびルテオリンは髄腔内投与するとOF試験で用量依存性に中央部分の滞在時間が延長し総移動距離が長くなった。高架式十字迷路試験ではクロロゲン酸、ルテオリンとも高用量ではオープンアームの滞在時間が長くなる傾向があった。また強制水泳試験では逃避行動から無動に至る時間が高用量で延長した。これらの作用はクルクミンの作用と類似していた。脳室内投与ではクロロゲン酸およびルテオリンはOF試験の総移動距離と強制水泳試験での逃避行動から無動までの時間を延長させる傾向があった。これまでの結果からCCIラットでクロロゲン酸、ルテオリン、クルクミンは脊髄と脳で抗不安作用や抗うつ作用を発現させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
坐骨神経結紮による神経障害性疼痛モデルにおけるオープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験、ロータロッド試験で薬物作用について評価ができているがY字迷路試験での学習能力の評価が困難であった。糖尿病性ニューロパチーモデルにおけるポリフェノールの影響についての検討には至っておらず各試験において健常モデルとの差が現れるかが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の大きな変更は行わない。糖尿病性ニューロパチーモデルの作製もこれまでに行ってきており当初の計画を遂行したい。
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Causes of Carryover |
強制水泳試験およびY字迷路試験の実施に必要な実験装置やビデオ行動解析システムの各モジュールを所属機関の研究費で購入したことと、坐骨神経結紮後の神経障害性疼痛の発現率が予想より高く、ラット購入費用があまり掛からなかったため当初の計画よりも支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
糖尿病性ニューロパチーモデルの作製には高価な試薬が必要でかつ飼育期間が1か月以上長くなることからこれまでよりも多く実験動物費が掛かる。神経障害性疼痛モデルの機械的痛覚過敏の評価に必要なelctronic von Frey装置が老朽化しており新規購入を予定している。
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Research Products
(4 results)