2015 Fiscal Year Research-status Report
糖転移酵素を分子標的とする膀胱癌治療法の実験的研究
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25861405
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 裕一朗 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50647344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖鎖生物学 / 糖鎖合成阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続きsiRNAの生体内導入による治療効果の検討を行ったが、生体内での安定的な送達および発現抑制を確認できなかった。本年度は抗C2GnTモノクローナル抗体が細胞内のC2GnTを抑制するかを検討するため、癌細胞への抗体の導入について検討を行った。 癌細胞にセンダイウィルスを改良したタンパク質導入試薬により抗体の導入を試みたが、C2GnT阻害効果を得られるほどの抗体の細胞内導入は出来なかった。これは、抗体分子が大きいため抗原結合部位であるFab領域の量が阻害効果を及ぼすのに十分ではない可能性が考えられた。したがって、今後Fab領域を安定的に抽出し、送達する方法を検討する予定である。さらに、抗C2GnT抗体の抗体遺伝子配列はRACE-PCR法により可変領域および抗原認識部位(CDR)を含め配列を決定できたため、遺伝子組み換え操作により抗原認識部位を利用した小型の抗体分子の作製も検討している。 また、糖鎖合成阻害に関しては、新たに合成した疑似糖鎖を用いた検討も行った。本検討に使用した疑似糖鎖はまだ機能を検討段階であり、どの程度の量を使用すれば効果が得られるか不明であったが、予備検討を行った。マウス腰背部に癌細胞を移植し、2 mg/dayで移植後2, 4, 6, 8, 10, 12日に疑似糖をマウスに投与したが、腫瘍サイズの抑制効果は認められなかった。一方で、in vitroでは2%を培地中に添加することで癌細胞の細胞増殖抑制が認められた。この結果をもとに、マウスでは血中濃度の測定なども考慮し投与量を再検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたsiRNAの生体内導入による検討が期待した効果が得られず、阻害剤投与に変更したため、当初の予定より遅れた。抗体導入に関しても予定通りの投与は行えなかったが、抗体遺伝子配列が決定できたため、今後改良が可能であると思われる。以上のことから予定より遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、抗体遺伝子を決定、またあらたな糖鎖合成阻害剤を検討することができた。したがって、今後はこれまでの検討で充分な効果が得られていない点を改良し、まずはマウスの癌移植モデルを用いて、治療効果が得られるよう検討を重ねる予定である。
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