2014 Fiscal Year Research-status Report
Phgae display法を利用した前立腺癌神経周囲浸潤の責任分子の同定
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25861407
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
岡本 亜希子 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60436037)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経周囲浸潤 / 神経周膜細胞 / インテグリンα6 / CXCR4 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌の進展過程においてperineural invasion(PNI)は、重要なメカニズムの1つであるが、その分子機構は、解明されていない。本研究では、PNIに関与する前立腺癌細胞側の責任分子を同定し、PNIの分子機構の解明を目的として研究を行った。平成25年度は、ファージディスプレイ法により前立腺癌細胞、神経細胞におけるリガンドとレセプターの検索、前立腺癌細胞と神経細胞との共培養により放出されるケモカインの測定および遊走能、浸潤能を調べた。本実験では、神経周囲の細胞として、ヒト神経周膜細胞(human perineural cell, HPNC)を用いた。前立腺癌細胞のcDNAライブラリーを導入したファージライブラリーとHPNC細胞を用いたスクリーニングにより、HPNC細胞に結合する前立腺癌細胞の候補因子としてインテグリンα6が同定された。またHPNC細胞は、培養液中にSDF-1を多量に分泌しており、前立腺癌細胞は、SDF-1受容体(CXCR4)の発現が亢進することが明らかとなった。さらにHPNC細胞層に対する浸潤能は、抗インテグリンα6抗体および抗CXCR4抗体によって阻害されたことから、前立腺癌細胞は、HPNC細胞が分泌するSDF-1により、遊走能が亢進し、インテグリンα6を介して神経周膜細胞に接着浸潤していることが示唆された。平成26年度は、前立腺全摘標本における免疫組織化学的検討を行った。その結果、神経周囲浸潤している癌細胞でインテグリンα6が発現していることが明らかとなった。また高浸潤能性前立腺癌細胞と低浸潤性細胞のマイクロアレイ解析により、前立腺癌細胞のPNI抑制候補因子として上皮細胞の膜タンパク質であるα-dystroglycanに修飾されるラミニン結合糖鎖合成に関連する因子がHPNC細胞に対する高浸潤性を示す細胞で顕著に減少することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるPNIに関与する前立腺癌細胞側の責任分子を同定し、PNIの分子機構の解明するという点で、前立腺側のPNI促進分子としてインテグリンα6そして抑制因子としてα-dystroglycanに修飾されるラミニン結合糖鎖合成に関連する因子責任分子として同定しており、本分子の発現について当初の予定通り、前立腺全摘標本における免疫組織化学的検討も行えたため。概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
PNIの促進および抑制因子を同定したため、今後の方針として該当分子の発現が異なる細胞の調製とin vivoにおける腫瘍形成能および転移能の評価を行う。また該当分子の抗体を用いた転移阻害効果の検討も行う。
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