2013 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア傷害を標的とした尿路結石の新規治療薬とバイオマーカーの開発
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25861437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
新美 和寛 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (70551274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Cyclophilin D / ミトコンドリア / 酸化ストレス / 細胞傷害 |
Research Abstract |
腎尿細管細胞や結石形成モデル動物においてCyclophilin D の選択的阻害剤であるNIM811の尿路結石形成の治療薬としての可能性をin vitro、in vivo研究で検証した。 シュウ酸カルシウム結晶によるミトコンドリアの脱分極;ラットの腎からcollagenaseを用いて抽出した腎尿細管細胞をTMRE染色色素(蛍光ミトコンドリア染色)で処理し、ミトコンドリアを染色した。これにシュウ酸カルシウム結晶を添加してNIM811投与群と非投与群で蛍光顕微鏡及び共焦点レーザー顕微鏡にて観察し比較した。NIM811投与群ではミトコンドリアの蛍光染色強度はほとんど減弱せず、NIM811非投与群では継時的に染色強度が減弱していった。したがって、NIM811によりミトコンドリアの脱分極は抑制されたことが判った。 結石形成モデル動物として使用されてきたSprague Dawleyラット(SDラット)に蓚酸前駆物質である1%エチレングリコールを14日間自由飲水により投与し、同時に、NIM811(1.0、5.0、10.0、50.0mg/kg/day)を胃管で連日投与し、非投与群と以下の項目を比較し違いを検討した。結石形成量;Pizzolato染色および偏光顕微鏡にて結石形成の部位、数を評価。画像解析ソフトImaging Pro-Plusを用いて、腎断面積における結石形成面積比を形成量として定量化し比較したところ、NIM811投与群で結石形成は有意に抑制された。ミトコンドリアの形態;透過型電子顕微鏡をもちいてミトコンドリアの形態を比較した。NIM811非投与群ではミトコンドリア膨化し二重膜は断裂していたのに対し、NIM811投与群では正常な形態を示していた。酸化ストレス;腎組織の酸化ストレスはNIM811非投与群で亢進し、NIM811投与群で有意に抑制されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に挙げた研究成果を得ることができ、この研究成果については、第101回、第102回日本泌尿器科学会総会、第56回日本腎臓学会学術総会で発表した。さらに、2014年度米国泌尿器科学会総会で採択され発表予定である。また、ここまでの研究成果を論文化し、International Journal of Urologyへ投稿してacceptされた。
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Strategy for Future Research Activity |
尿路結石治療バイオマーカーの確立(尿中Cyclophilin Dの検出) ヒトや結石形成モデル動物における尿中Cyclophilin Dの検出をアセトン吸着法を用いて試み、尿路結石治療および再発予測バイオマーカーとしての臨床的意義を検証する。 尿中蛋白の抽出;結石形成モデル動物から24時間尿を採取する。尿1ml中の微量蛋白を、アセトン吸着法を用いて尿中から抽出する。その蛋白量を、分光光度計を用いて測定し比較する。 尿中Cyclophilin Dの検出;抽出した蛋白を抗Cyclophilin D抗体を用いてwestern blotting法で検出する。その結果をもとにELISA法によりCyclophilin D蛋白量を定量化し、24時間尿量で補正し比較する。 治療バイオマーカー;ヒトの尿からCyclophilin Dの検出を行い、結石罹患患者と結石治療患者および健常者でその量を比較し、結石治療効果や再発予測因子としてのバイオマーカーの可能性を検討する。
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Research Products
(4 results)