2013 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌に対するNVP-BEZ235の抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
25861450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松島 将史 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (00464850)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / NVP-BEZ235 / 膀胱内注入療法 |
Research Abstract |
マウス膀胱癌細胞株MBT-2に対するNVP-BEZ235の細胞傷害効果をWST assayによる吸光光度測定法にて検討した。WST assayにおいて、NVP-BEZ235各濃度(50nM、100nM、250nM、500nM、1000nM)投与によるcell viabilityは48.0 ± 12.8%、36.6 ± 10.2%、30.3 ± 8.0%、20.4 ± 6.0%、9.5 ± 4.7%と濃度依存性の細胞増殖抑制効果を認めた。次に、NVP-BEZ235の投与によるPI3K-AKT-mTOR pathwayの阻害効果に関してwestern blottingを用いてpAkt, pS6、p4EBP1の発現の程度にて評価した。その結果、in vitroにおいてNVP-BEZ235投与はpAkt、pS6、p4EBP1の発現を濃度依存性に有意に抑制した。次に全身麻酔下にC3H/HeNマウスの膀胱内へMBT-2細胞を注入し2時間尿道を結紮することにより、マウス膀胱癌同所性モデルを作成した。具体的にはマウスをネンブタール50mg/kg腹腔内注射にて麻酔を行い、仰臥位とする。経尿道的に24G 血管カテーテル外筒を挿入し、MBT-2細胞浮遊液5×105個/0.05mlを注入し、2時間尿道を糸で縛り内溶液を貯留させる。本手技の確立により、腫瘍の生着率はほぼ100%となった。次に、NVP-BEZ235膀胱内注入療法の抗腫瘍効果の検討を行った。具体的にはMBT-2をC3H/Heマウスに膀胱移植し、day 5より3日毎にNVP-BEZ235の膀胱内注入を計5回施行した。コントロール群(PBS)15匹とNVP-BEZ235投与群15匹の2群(計30匹)に分け、膀胱重量を比較検討した。その結果、コントロール群と比較して1μM、10μMのNVP-BEZ235膀胱内注入では膀胱重量に有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
マウス膀胱癌同所性モデルにおけるNVP-BEZ235膀胱内注入療法の抗腫瘍効果の検討に関して、至適濃度の決定に時間を要している。現時点で1μM、10μMのNVP-BEZ235膀胱内注入では腫瘍重量に有意差を認めておらず、種々のdoseでの検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
①in vivo(マウス膀胱癌同所性モデル)でのNVP-BEZ235の抗腫瘍効果の検討(最適な投与量の決定):NVP-BEZ235の膀胱内注入は、腫瘍移植後第5日目(day 5)より3日毎に計5回施行。コントロール群とNVP-BEZ235投与群の2群に分け、腫瘍生着率を比較検討する。コントロール群15匹、NVP-BEZ235投与群15匹の計30匹で比較検討を行う。NVP-BEZ235 1μM, 10μMでは抗腫瘍効果が確認できなかったが、副作用も認めなかったため、さらなる高容量で検討を行う。 ②膀胱癌肺転移モデルにおけるPI3K・mTORC1/2阻害の治療効果検証:MBT-2 variant細胞を用いて、C3H/Heマウスの膀胱腫瘍肺転移モデルを作成する。マウスをcontrol群、肺転移観察群、NVP-BEZ235前投与群、NVP-BEZ235後投与群の4群にわける予定である。またNVP-BEZ235の量、投与法(経口投与、腹腔内投与)、投与期間に関しても検討を行う。次に抗転移効果の検討を行う。また摘出した肺の転移巣より蛋白を抽出する。ウエスタンブロット、免疫染色を行いそれぞれの腫瘍におけるpAKT,pS6,p4EBP1の発現を検討し、in vitroの結果との相同性を確認する。さらにコントロール群と治療群において生存率を解析する。 ③抗癌剤耐性制御におけるPI3K-Akt-mTOR pathwayの役割の解明および抗癌剤とPI3K・mTORC1/2阻害の併用による治療効果の検証:CDDP、MMC、Gemcitabineなどの抗癌剤使用時のPI3K-Akt-mTOR pathwayのシグナル伝達を検討する。また、当教室で既に樹立されているCDDP、MMC、Gemcitabine耐性膀胱癌細胞株を用いて抗癌剤耐性獲得下におけるPI3K-Akt-mTOR pathwayの活性化の変化を追跡する。さらにこれらの検証をin vivoにおいても行う。各種膀胱癌細胞株、抗癌剤耐性膀胱癌細胞株を用いて、抗癌剤とNVP-BEZ235の併用による抗腫瘍効果をin vitro、in vivo(皮下腫瘍モデル、正所性モデル、肺転移モデル)において検討する。
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