2013 Fiscal Year Research-status Report
5α還元酵素阻害剤のステロイドホルモンとメンズヘルスに与える影響
Project/Area Number |
25861453
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
前田 高宏 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00407090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 5α還元酵素 / 性機能 / 男性更年期 / メンズヘルス |
Research Abstract |
慶應大学病院倫理委員会(慶應大学倫理委員会2009-297)の承認ならびに大学病院情報ネットワーク(UMIN-3573)にて一般に情報公開のもと、dutasteride 内服患者を症例登録し、prospectiveにかつ時系列にホルモン検査を含む採血および蓄尿検査、排尿機能や性機能、男性更年期障害に対する影響の調査を行なった。また、これらの臨床データの客観的な裏付けを得るため動物モデルを用いて検証を行った。 ① 本薬剤の排尿機能に対する影響について、プラセボ効果の可能は否定できないが、各種排尿パラメーターは内服6ヶ月において有意な変化を認めた。3DUSで測定した各前立腺領域は前立腺体積、 側葉体積、 中葉体積ともほぼ同様の縮小率を認めた。治療前の前立腺総体積に対する側葉の体積比、ならびに側葉体積に対する中葉の体積比は、共に治療効果と有意な相関を持つことを示した。 ② 本薬剤の性機能に対する影響については本剤内服前の時点ですでに約70%の対象が性活動が低下していた(IIEF5≦7)が、内服時に性活動が活発であった者を対象にすると内服前後で有意にIIEF5、EHSといった性機能の低下を認めた。一方で性機能の低下を主な理由として内服を中断したものは全体の1.3%にとどまった。また内服開始の時点で性機能がある程度保たれているものおよび年齢が若年であるものほど本剤の性機能の低下に対し負担に感じている結果であった。 ③ 本薬剤の男性ホルモンおよび男性更年期障害に対する影響については男性ホルモン(テストステロンおよびフリーテストステロン)は内服前後で約10-20%の上昇を認めた。男性更年期の質問票であるAMSスコアは全体では内服前後で顕著な改善効果は認めなかったが、内服開始時に男性ホルモン値が低くかつAMSスコアが低値である症例に関しては本剤内服によって男性更年期障害のスコアの改善を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本臨床研究データベースの構築および蓄尿検体のホルモン解析に労力を要した。またモデルの作成に慣れていないために再現性をもって勃起不全動物モデルを作成することに時間を要した。蓄尿ホルモンの解析にまだ時間がかかる見込みであるが、可及的すみやかに解析作業をすすめていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている蓄尿検体を使用した網羅的な全身ステロイドホルモン検索の研究をおしすすめ、本薬剤による体内ホルモン動態の変化およびその変化が性機能や男性更年期の症状にどのような効果をもたらすかを解明する。また解析一年目で得られた臨床データを引き続き動物実験モデルを用いて検証を行う予定である。 また本年度の学会発表はないが、現在、本研究内容を英語論文にて投稿2報、作成中1報である。
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