2014 Fiscal Year Annual Research Report
CD44を標的とした尿路上皮癌に対する新規治療戦略の確立
Project/Area Number |
25861454
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
萩原 正幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70464922)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CD44 / バリアントアイソソーム / メトホルミン |
Outline of Annual Research Achievements |
尿路上皮癌における化学療法はシスプラチン(CDDP)を中心としたとした多剤併用療法が施行さるが、その効果は一時的であり、その後CDDP抵抗性となり進行する症例が多い。今回、我々は治療抵抗性の獲得に関与する新たな癌幹細胞マーカーとして報告があるCD44のバリアントアイソソーム(CD44v)に着目し、尿路上皮癌に対する治療戦略について研究を行った。浸潤性膀胱癌および筋層浸潤性上部尿路上皮癌に対し手術治療が行われた182例を対象としCD44vの免疫染色を行い、予後との関連について検討した。123例の症例でCD44vの発現を認め、多変量解析の結果、浸潤性尿路上皮癌患者においてリンパ節転移およびCD44v陽性が独立した術後の予後因子であった。CD44v機能解析をヒト尿路上皮癌細胞株T24および当教室で樹立したCDDP耐性株(T24PR)を用いて行った結果、CDDP耐性株であるT24PRでCD44v発現の亢進が認めた。 また近年、尿路上皮癌も含めた様々な癌種において糖尿病治療薬メトホルミンの予後改善効果について報告がなされ、乳癌においては癌幹細胞(CD44+/CD24-)に対し、メトホルミンがより強い抗腫瘍効果を示すことが報告された。CD44vを発現する尿路上皮癌細胞を標的とした治療戦略を計画する上で、メトホルミンを用いて、その抗腫瘍効果について検討を行った。CD44vの発現を有するT24はメトホルミン投与に伴うcell viabilityの有意な減少を認めた一方、CD44vの発現を有さないHT1376では有意な殺細胞効果は認めなかった。メトホルミンとCDDPの併用によるT24に対する殺細胞効果はメトホルミンおよびCDDP単剤と比較し、有意に大きかった。フローサイトメトリーにおいてシスプラチン投与に伴い上昇したCD44v陽性細胞の割合がメトホルミン併用に伴い低下した。T24皮下腫瘍モデルを用いてメトホルミン、CDDPとそれらの併用による抗腫瘍効果を確認した結果、day30での腫瘍径が併用群では有意な腫瘍増大の抑制を認めた。
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Research Products
(1 results)