2013 Fiscal Year Research-status Report
CYP3A4を標的にしたSXRを介した薬物耐性に対する卵巣癌新規治療法の可能性
Project/Area Number |
25861460
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 亜希子 東北大学, 大学病院, 助教 (20644818)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / SXR / 薬剤耐性 / CYP3A4 |
Research Abstract |
卵巣癌治療の中心は抗癌剤を用いた化学療法である。しかしながら、次第に抗癌剤に対して薬剤耐性を獲得していく上に、様々な癌における薬剤耐性の克服を目的に研究が行われているが、未だに臨床応用できる治療法は確立されていない。以前に当教室においてヒト卵巣癌組織検体を用いた検討で、SXR発現が増強すると有意に無病生存率と全生存率の低下が認められた。今回、SXRの重要な標的遺伝子の1つであるCPY3A4に着目し、その発現の制御機構を解明し、卵巣癌における一層効果的な化学療法を確立していく。 本年度はまず初めに、卵巣癌細胞株を9種類用いて各細胞株におけるSXR発現強度をRNAで検討した。その結果、細胞株によってSXR発現強度はかなり異なり、なかでもOV90細胞とJHOS2で強い発現強度を認めた。次に、SXRの発現量が多い細胞株と少ない細胞株を選別し、これらに卵巣癌の標準治療で使用されるシスプラチンに対する薬剤抵抗性をみたところ、発現強度の高いOV90細胞ではそれ以外の細胞株と比較し、薬剤抵抗性が著しく亢進していた。さらに、siRNA法でSXRの発現を抑制し CPY3A4発現を見たところ、SXRを強く発現する細胞株で低下傾向を認めた。また、シスプラチン投与によるアポトーシス誘導をフローサイトメトリー法を用いて検討したところ、CPY3A4の発現が認められる細胞株でアポトーシス発現が弱かった。 以上より、卵巣癌細胞株においてSXR過剰発現強度が深く関わっており、その背後ではCPY3A4が関与していることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数の細胞株を用いて検討することで、細胞間によるSXR発現動態の差異と細胞増殖スピードおよび細胞死の関係を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検討した卵巣癌細胞株を用いて、SXR発現をタンパクでも確認する。さらに、それらの発現強度の差を比較検討するため、CYP3A4プロモーター領域におけるcis-acting elementの同定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 平成26年度請求額と合わせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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