2014 Fiscal Year Research-status Report
母児免疫寛容のメカニズムに着目した新しい婦人科免疫療法の開発
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25861467
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
清水 大 秋田大学, 医学部, 講師 (60400503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 母児免疫寛容 / 癌免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、妊娠に伴う免疫寛容のシステムに着目した新たな癌免疫療法の開発を目的としている。母体子宮が胎児の絨毛外栄養膜細胞の過剰な侵入を抑制するメカニズムから、生体自身の腫瘍排除機能を補助することでがん治療へ応用しようとする試みである。その主要なエフェクター細胞であるNK細胞はヒト末梢血中には極めて少なく、非ホジキンリンパ腫から樹立されたNK細胞を用いる方法に変更して研究を進めた。腫瘍細胞とNK細胞の共培養系に免疫逃避関連分子(HLA-G)の中和抗体を添加する系でin vitroの実験を進めている。同様にgalectin-1については、中和抗体が利用できない(販売されていない)ため、これらの免疫逃避機構の解析のためsiRNAを用いる実験系の立ち上げを行っている。 卵巣癌(SK-OV-3)および子宮頸癌(HeLa)の細胞株でのHLA-Gおよびgalectin-1の発現を確認した。in-vivoの実験系のためにこれらの細胞にLuc遺伝子を導入した細胞株を作製および購入し、マウスへの移植実験へ移行できる準備を整えた。In vitroの実験により、癌免疫逃避解除効果が確認されれば、in vivoの系での実験にすみやかに移行できる状態である。 また、手術摘出症例標本の蓄積も進み、HLA-Gおよびgalectin-1の発現強度を定量的RT-PCRで検討して行く。次年度に科学研究費使用の延長を申請しており、今後の研究に当てることで研究目標の達成をめざして行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
条件設定のための基礎実験に時間を要し研究の進行が停滞したが、条件設定のための基礎的検討はほぼ整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基礎的な実験はヒトNK細胞株を用いて行っていく。細胞傷害活性測定実験系、siRNAの実験系およびin vivo実験系への移行の条件設定はほぼ整ったので、残りの研究費は次年度に研究を進めるために充てるべく、研究の延長申請をしている。
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Causes of Carryover |
現在、NK細胞株を導入し、卵巣癌や子宮頸癌細胞株との共培養系にHLA-G中和抗体を添加する実験系でin vitroでのNK細胞の抗腫瘍効果へのHLA-Gの影響を検討している。予想通りの効果は得られていないが、抗体種により中和能に差がある可能性があるため、現行の実験系において多種の抗体を用いた検討を行っており、確定的な結論を得るために期間延長し、繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vitro系への検討に繋げるため、上記のin vitroでの検討を継続する方針である。今後は研究継続のために、消耗品購入、調査・研究経費、成果発表旅費等で運用していきたい。
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Research Products
(6 results)