2015 Fiscal Year Research-status Report
血漿RNAはTLR3を介して妊娠高血圧症候群を惹起する
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25861469
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中田 恵美里 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30447289)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2017-03-31
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Keywords | TLR3 / 妊娠高血圧症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、全身性炎症反応を伴う各種疾患における自然免疫機構の果たす役割が解明されるようになった。特に、toll like receptors TLRsは外因性物質のみならず内因性物質を認識し、様々な炎症性疾患の発症に関わる事が報告されている。絨毛細胞は各種TLRsを発現していることから、絨毛細胞株を各種TLRリガンドで刺激したところ、TLR3活性化刺激により強い炎症反応が最も効果的に惹起されることを確認した。さらにTLR3のリガンドとしてヒト血漿由来のRNAをもとに合成したRNAを用いた実験において、リポソームでカプセル化した合成RNAがTLR3を介して絨毛細胞の炎症性メディエーター産生を亢進させることを確認した。 そこで、妊娠母体の全身性急性炎症反応を伴う病態である妊娠高血圧症候群PIHにおいて、その血中RNAが絨毛細胞のTLR3を介して全身性急性炎症反応を惹起しPIHの病態形成に関与するとの仮説をたてて研究を行った。 まず、軽症および重症PIH症例と、妊娠週数をマッチさせた正常妊娠および健常ボランティア症例より血液サンプルを採取した。その血液サンプルより血漿を分離し、エキソソームを抽出した。 また、妊娠中断症例および帝王切開症例より胎盤を採取した。その胎盤より絨毛細胞を分離採取して絨毛細胞の初代培養を行い、樹立細胞株同様に初代培養細胞においてもTLR3刺激による炎症反応が惹起されるか検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血液サンプルの採取に関しては、おおむね順調に進行している。 一方、初代培養細胞を用いた実験に関しては、その条件の至適化を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、血液サンプルより抽出したエクソソームからRNAを単離・精製し、その後の刺激実験を進める。また、初代培養細胞における刺激実験の条件の至適化を行い、樹立細胞株と同様の結果が得られるか検証を進める。さらに、RNA刺激による炎症性メディエーター産生量とPIH重症度や臨床経過との関連を解析する。
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Causes of Carryover |
今年度、旅費・人件費に使用予定としていたものが不要となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費・人件費の補填として用いる。
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Research Products
(1 results)