2013 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞腺癌における遺伝子プロファイルに基づく新規分子標的治療法の探索
Project/Area Number |
25861473
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上原 ゆり子 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究医 (50648433)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 卵巣明細胞腺癌 / 染色体コピー数解析 / 遺伝子発現解析 / クラスター解析 / ARID1A / PIK3CA |
Research Abstract |
当院倫理委員会の承認のもと、患者からの同意の得られた卵巣癌臨床検体150例(うち明細胞腺癌70例)を用い、Genomic DNA、RNAを抽出し、以下の解析を行った。 まず、ゲノムワイドな染色体コピー数異常(増幅・欠失を含む)について、SNPタイピングアレイを用いて解析した。これにより関連遺伝子の増幅・欠失の有無が明らかとなり、組織型毎の染色体コピー数異常の特徴を解析した。特に明細胞腺癌におけるコピー数異常の程度と予後についてはカプランマイヤーを用いて解析し、コピー数異常の意義を検討した。さらに、臨床検体mRNAを用いて、Affymetrix発現マイクロアレイにより解析し、mRNAレベルの遺伝子発現量を比較した。またその結果を用いて階層的クラスタリングをすることにより、遺伝子発現の特徴による分類を行い、さらに、明細胞腺癌のみを対象として、新たなサブクラスターに分類を行った。また、病理部との共同研究により、パラフィン切片を用いたTissue microarrayを利用し、卵巣明細胞腺癌との関連が報告されていARID1Aの免疫染色を行った。また、卵巣明細胞腺癌の亜分類に特異的な経路を標的とした治療薬の抗腫瘍効果の検討のため、卵巣明細胞腺癌臨床検体において、PIK3CAの遺伝子について変異の有無について解析した。 上記の結果をもとにして、明細胞腺癌における予後と相関するサブクラスターの抽出を行い、論文投稿準備を進めている。また、メチル化の関与を解明するため、Infinium HumanMethylation450 BeadChipを用いた網羅的なメチル化についても解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の研究実施計画にのっとって、解析がおおむね予定通り進行しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では今後、明細胞腺癌の予後に関わるサブクラスターの抽出によって得られた、遺伝子群の変異解析や機能解析、特異的な経路を標的とした治療薬の抗腫瘍効果の検討を以下の方法で行っていく予定である。 まず、遺伝子変異の解析;発現異常を示した遺伝子を中心に、臨床検体を用いて遺伝子変異を検索する。効率的な遺伝子変異解析手段として、特定の遺伝子群(約200種類を網羅)をターゲット領域として設定したアンプリコンシーケンスを利用する。次に、明細胞腺癌の亜分類における化学療法感受性と関連する遺伝子群の機能解析;化学療法低感受性群で高発現している遺伝子をもとに、卵巣明細胞腺癌細胞株において、siRNAを導入し、抗癌剤(シスプラチン、カルボプラチン、パクリタキセル、イリノテカンなど)の感受性に与える影響を検討する。下記のMTTアッセイ、Flowcytometry解析を行う。低発現遺伝子については、発現ベクターを細胞株に導入し、感受性への影響を検討する。さらに、明細胞腺癌の亜分類特異的な経路を標的とした治療薬の抗腫瘍効果の検討;上記解析で得られた遺伝子群やシグナル伝達経路に基づいて、現在市販購入可能な標的経路阻害剤を用いて、卵巣明細胞腺癌株への抗腫瘍効果を検討する。すでにヒト悪性腫瘍で、臨床応用されている、あるいは臨床試験が進行中の薬剤については、企業からの試薬の分与を受け、より実用化に近い薬剤を優先的に用いる予定である。 それらの結果、卵巣明細胞腺癌に特異的な治療薬の確立とそのバイオマーカーの同定に向けて基礎的な研究成果をまとめていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年5月16日から8月31日まで産休、育休で研究を中断していたため。 平成25年度の解析で得られた結果より、標的となる候補遺伝子群やシグナル伝達経路が多数同定されている。卵巣明細胞腺癌株への抗腫瘍効果を幅広く検討するため、現在市販購入可能な標的経路阻害剤やsiRNA、抗体などを当初の予定より多く購入していく予定である。
|
-
[Journal Article] Anti-tumor activity of olaparib, a poly (ADP-ribose) polymerase (PARP) inhibitor, in cultured endometrial carcinoma cells.2014
Author(s)
Miyasaka A, Oda K, Ikeda Y, Wada-Hiraike O, Kashiyama T, Enomoto A, Hosoya N, Koso T, Fukuda T, Inaba K, Sone K, Uehara Y, Kurikawa R, Nagasaka K, Matsumoto Y, Arimoto T, Nakagawa S, Kuramoto H, Miyagawa K, Yano T, Kawana K, Osuga Y, Fujii T
-
Journal Title
BMC Cancer
Volume: 14
Pages: 179(1-10)
DOI
Peer Reviewed
-
[Presentation] Comparison of genomic alteration patterns between ovarian clear cell carcinoma and renal cell carcinoma2013
Author(s)
Kayo Asada, Takahiro Koso, Katsutoshi Oda, Yuriko Uehara, Shogo Yamamoto, Kenji Tatsuno, Hiroki Ueda, Yuji Ikeda, Osamu Hiraike,Kei Kawana, Tetsu Yano, Tomoyuki Fujii, Hiroyuki Aburatani
Organizer
第72回日本癌学会学術総会
Place of Presentation
横浜
Year and Date
20131003-20131005
-
-