2014 Fiscal Year Research-status Report
CD1d-iNKT 系が妊 娠に及ぼす影響につ いての検討
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25861476
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河合 有希 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70646463)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 流産 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は絨毛細胞-母体リンパ球間の相互作用に関する研究を進めている。fat-1マウスは抗炎症作用を持つω3脂肪酸を高濃度に発現するトランスジェニックマウスで、すでに複数の研究結果によりω3脂肪酸がもつ抗炎症作用があらゆる疾患モデルに対しても有効である可能性が示唆されてきた。 またNKT細胞は、絨毛細胞上のCD1dを介して賦活化され炎症状態を惹起することは申請者がすでに報告している。fat-1マウスを、NKTを標的とした流早産モデルマウスに応用することにより、NKTを標的とした炎症状態に対するω3脂肪酸の新たな抗炎症作用を解明することを目的として、研究を行った。妊娠したfat-1マウスにNKT細胞を賦活化させるα-GalCerを投与し、流早産率をコントロール群と比較した。流産群は投与72時間後に子宮内の胎仔の数、および流産の痕跡を確認した。早産群は、分娩までの日数を確認し、分娩終了までを観察した。流産群ではC57BL/6マウスは流産率が90%と高率であったのに対し、fat-1マウスでは27.2%であった(P=0.0010)。早産群ではC57BL/6マウスの早産率が72.7%であったのに対し、fat-1マウスでは20.2%であった(P=0.016)。本研究の結果、fat-1マウスの流早産率がC57BL/6よりも有意に低率であることがわかった。これはNKT細胞が関与する流早産の予防にω3脂肪酸が有効であることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたマウスモデルの作成にはいたらなかったが、これまでの研究成果より別の経路による流産モデルを用いて、流早産抑制効果の検証を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
脱落膜内のNKT細胞が刺激を受けることにより、種種のサイトカインが放出されることはすでに報告されているが、ω3脂肪酸がNKT細胞を介した炎症経路のどこに作用しているかは明らかにされておらず今後の研究課題である。今後はさらに細胞、遺伝子レベルでの解明を行っていく予定である。
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