2013 Fiscal Year Research-status Report
早産の原因解明-羊水中感染微生物の迅速高感度検出システムの構築-
Project/Area Number |
25861478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
米田 徳子 富山大学, 大学病院, 助教 (80377283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 切迫早産 / 高感度病原微生物同定検査 / 適切な抗菌薬治療 / 子宮内感染 / CAM / 腸内細菌叢 |
Research Abstract |
予後不良の在胎28週以前の早産の主要因として、子宮内感染に基づく絨毛膜羊膜炎(CAM)が知られている。腸内細菌叢、腟内細菌叢のアンバランスがCAMの一因と考えられているが、直接的な証明は未だなされていない。 1)われわれが開発した高感度病原微生物同定検査(one step nested PCR法)、起因菌同定ITシステムをもちいて、切迫早産症例の羊水中病原微生物の同定が最短3時間で検出可能になった。2)切迫早産や頸管無力症に対する抗菌薬治療は効果がないとされているが、このシステムを用いて切迫早産症例で子宮内感染例のみを抽出し、適切な抗菌薬治療をおこなった(n=11)。過去の切迫早産症例で抗菌薬投与が不十分であった症例(n=13)に比較し、適切な抗菌薬治療例では、約2週間の妊娠延長効果が得られた。また、病原微生物陰性例に抗菌薬投与を行うと妊娠期間は短縮しており、切迫早産の不適切な抗菌薬使用は不利に作用する可能性が示された。34週以降の分娩と関連する因子を検討すると、適切な抗菌薬投与は、Odds比3.7,95%信頼区間1.3-12.1,p=0.0017で有意な因子であった。 3)病原微生物の種類を検討すると、Ureaplasm,Mycoplasma属と細菌の重複感染例が、すべて陰性例より有意に早期に分娩となっており、子宮内の炎症性サイトカイン(IL-8)高値、CAM高率であり、新生児予後不良であった。 4)分娩時の羊水および胎盤、臍帯血の病原微生物の検出も行った。適切な抗菌薬投与をおこなった症例で、分娩時に無菌的に羊水が採取できた(帝王切開)症例では、菌が消失していたのは3例中2例であった。 5)切迫早産例、早産例、健常妊婦より便および腟分泌物を採取しDNAを抽出し、T-RFLPにより細菌叢解析を行っている。早産例と健常者で細菌叢がまったく異なることが判明しているが、現在症例を蓄積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)迅速高感度同定システムの運用は順調であり、実用的である。 2)羊水中サイトカインと羊水中病原微生物の関連性についての検討はできているが、菌量との相関はまだできていない。 3)分娩時の羊水、胎盤、臍帯血の病原微生物の検討は今後症例を蓄積し、適切な抗菌薬投与により新生児予後への影響を評価する。 4)切迫早産、早産例、正常妊婦より便、腟分泌物採取しDNAを抽出後、T-RFLP法を行い、末梢血の制御性T細胞をフローサイトメトリーで検索する予定だが、現在症例を蓄積中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)さらに症例を蓄積する。 2)分娩時の羊水ならびに胎盤および臍帯血における病原微生物の有無を確認する。子宮内感染のある症例で適切な抗菌薬投与をおこなった症例で、出産した早産児の予後について検討する。 3)切迫早産例の腸内細菌叢をT-RFLPを用いて解析し、さらに症例を増加させ、免疫機能と対比するとともにProbiotics製剤を用いて腸内細菌叢が正常化するかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に更なる症例の蓄積、実験の継続、および研究内容の発表のために必要だった。 研究費の使用内訳は、①PCR,サイトカイン測定に必要な試薬の購入および研究助手への研究補助金、②研究成果の発表に必要な経費、である。
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Research Products
(6 results)