2013 Fiscal Year Research-status Report
絨毛外トロフォブラストにおけるLCN2の発現と意義の検討
Project/Area Number |
25861483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小原 久典 信州大学, 医学部, 助教 (30598818)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | lipocalin2 / 絨毛外トロフォブラスト / MMP-9活性 / 妊娠初期 / 浸潤能 / 酸素濃度 |
Research Abstract |
我々はこれまでに免疫染色によって、lipocalin2 (LCN2) が妊娠初期絨毛の絨毛外トロフォブラスト(以下EVT)で高発現していることを見いだした。そこで妊娠初期絨毛から分離培養した絨毛外トロフォブラスト(以下EVT)とEVTのモデルである絨毛癌細胞株JAR細胞を用いてLCN2の機能解析を行った。まず培養液に組み替えLCN2 (rLCN2)を添加し、24時間後の増殖能をWST-1アッセイで検討したが、両細胞とも無添加と差を認めなかった。一方、浸潤能(マトリゲル浸潤アッセイ)とMMP-9活性(ゼラチンザイモグラフィー)は共に用量依存的に増加し、500ng/mlのLCN2添加で浸潤能はEVTで325%(P<0.01)、JAR細胞で215%(P<0.01)に増加し、MMP-9活性はEVTで169%、JAR細胞で147%に増加した。また、LCN2発現抑制により、JAR細胞の浸潤能は26%まで、MMP-9活性は51%まで低下したが、500ng/mlのrLCN2添加により浸潤能は61%まで回復した。酸素濃度の影響では、両細胞とも低酸素ほどLCN2 mRNA発現、MMP-9活性は増加し、浸潤能も亢進した。特にJAR細胞の浸潤能は、20%酸素下に比較して、2%酸素下で211%(P<0.01)に増加したが、LCN2発現抑制により逆に12%まで著明に抑制された。さらに、この2%酸素下のLCN2発現抑制JAR細胞に500ng/mlのrLCN2添加を行うと、浸潤能は79%まで回復した。 以上より、LCN2は妊娠初期の特に酸素濃度によるEVTの浸潤能調節に重要な役割を果たしていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、計画していた通り、培養細胞(EVT、JAR)を用い、LCN2の機能解析、および酸素環境の影響を検討できている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通りに進める。LCN2発現による浸潤能・遊走能亢進に関して、MMP-9以外の因子の関与についても検討していく。特に上皮間葉転換に関わる因子についてRT-PCRやwestern blotting、免疫染色で検討していく。また、絨毛外トロフォブラスト分離培養細胞、JAR細胞でのLCN2発現制御についてルシフェラーゼアッセイ、メチル化特異的PCR法等を用いて、検討する。さらに、妊娠初期マウス子宮でのLCN2相同遺伝子24p3の発現および局在を、免疫染色もしくは蛍光免疫染色で検討する。LCN2発現制御機構等の研究を行う。また妊娠マウスにおける発現検討等を進める。
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Research Products
(4 results)