2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症の病態へのがん抑制遺伝子C/EBPαの関与
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25861500
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
川野 由紀枝 大分大学, 医学部, 講師 (60516128)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症の病因としてエピジェネティックな変化が注目されている。ヒストンのアセチル化はヌクレオソームの構造変化をもたらし、転写因子のゲノムDNAへのアクセスに大きく影響している。Histone deacetylase inhibitor(HDACI)であるバルプロ酸(VPA)で刺激を行った細胞よりRNAを採取し、マイクロアレイを用いてコントロール群と比較した。ECSC(内膜症嚢胞間質細胞)において、異常なsilencingを受けており増殖や生存を調節していると考えられる遺伝子群を抽出した。その中から、子宮内膜症の病態形成におけるがん抑制遺伝子CCAAT/enhancer binding protein(C/EBP)αの役割について検討した。 ECSCにおいて、VPAの刺激でC/EBPαの発言は有意に高まった。C/EBPαをノックダウンしたNESC(正常子宮内膜間質細胞)では、細胞生存が高まり、apoptosisに耐性を獲得することが示唆された。C/EBPαを強制発現させたECSCでは、生細胞の減少とapoptosis細胞の増加を認めた。C/EBPαをノックダウンしstaurosporineで刺激したNESCでは、p21, p16, cdk2, cdk4などの発現低下、PPARγ, caspase-10の発現低下を認めた。 C/EBPは細胞の分化、増殖に関与する重要な転写因子として働いており、細胞増殖抑制作用をもつがん抑制遺伝子である。子宮内膜症ではepigeneticな変化によりC/EBPαは異常なsilencingを受けており、子宮内膜症の病態形成に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
良好な研究結果を得、研究成果をジャーナルに投降しアクセプトされた。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイの結果、得られた遺伝子の中から新しい候補遺伝子を絞り込んだ。いくつかの遺伝子を用いて、子宮内膜症の病態形成への関与についてさらに研究を進めている。
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Causes of Carryover |
データの絞込みにやや時間を要しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
候補遺伝子から予備実験を行い、病態形成に関与が推測される遺伝子をさらに抽出する予定である。
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