2014 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌におけるEMT機構の解明とこれを標的とする新たな内分泌療法の意義の確立
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25861503
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森 泰輔 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00569824)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | エストロゲン依存性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮体癌はホルモン依存性腫瘍であり、エストロゲンとプロゲスチンがその増殖や発癌に関与する。エストロゲン関連受容体(ERR)はエストロゲン受容体(ER)に類似した構造を有するが、エストロゲンのような強力なリガンドを有さない新規オーファン核内受容体として知られている。われわれはこれまでにERRがエストロゲン受容体発現状態に応じて子宮体癌におけるエストロゲン伝達経路に影響を及ぼすことを明らかにしてきた。本研究ではERRの上皮間葉転換現象への作用に着目しさまざまな実験を遂行した。結果、一部の細胞株ではERRによるE-cadherinの発現減弱を示すものの一連の間葉マーカー因子の発現は来さず明らかな上皮間葉転換現象は認められなかった。一方、ERRは血管内皮細胞増殖因子であるVEGFを誘導し、血管新生促進作用を及ぼすことを明らかにした。使用したいずれの細胞株でもその反応は確認され、エストロゲン発現有無に関係なく関与することが示唆された。ERRはVEGFプロモーターに存在するエストロゲン応答配列に結合しその転写活性を上昇させると考えられた。またERRを誘導する因子については現在引き続き検討している。またERRの強力なコアクチベーターであるPGC-1aに注目し、エストロゲン依存性婦人科疾患におけるその機能を検討した。子宮内膜症においてPGC-1aはエストロゲン転換酵素として知られるアロマターゼを発現および転写活性を高め、病巣局所エストロゲン生合成に関与していることを明らかにした。子宮体癌については現在検討中である。
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