2013 Fiscal Year Research-status Report
加齢に伴うコンドロイチン硫酸鎖の減少が妊孕性に及ぼす影響
Project/Area Number |
25861517
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 伴 神戸薬科大学, 薬学部, 研究員 (90443126)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 着床前胚 / コンドロイチン硫酸 / ライブセルイメージング / 多核割球 / 卵割 / 不妊治療 |
Research Abstract |
高齢の不妊患者の生殖補助医療後の胚では、多核割球が高頻度に形成され妊孕性低下の原因となっている。しかし、その形成機序には不明な点が多く、また回避策として有効な手段も確立されていない。多核割球の形成機序を解明するために以下の二つの研究に着目した。 ①コンドロイチン硫酸(CS)鎖の欠損胚では多核割球が形成され、さらに生体内においても骨格筋の分化過程でCS鎖の減少が多核化・融合の過程に重要である。 ②加齢に伴うCS鎖の減少が、加齢疾患の原因となっている。 本研究では、以上の二つの研究を基盤とし融合することで、加齢によるCS鎖の減少が多核割球形成の原因となり妊孕性低下の一因となっているという仮説を提唱し、検証している。 今年度は、ライブイメージングの系の構築を行った。マイクロインジェクション法によってmRNAを導入し、紡錘体及び核を可視化することで卵割過程を観察した。その結果、コンドロイチン硫酸の減少した胚ではanaphaseでの核の分配に異常が観察されるだけでなく、分裂後に消失するはずの紡錘糸が分裂後にも架橋構造を維持していた。以上のことから、コンドロイチン硫酸の減少が契機となって、細胞質分裂の最終段階である細胞質の脱離に異常を呈している可能性が示唆された。さらに、加齢マウス卵巣における硫酸化グリコサミノグリカン鎖生合成関連遺伝子群の遺伝子発現解析を行ったところ、加齢によって大きく変化する遺伝子としてグリコサミノグリカン鎖の結合領域の生合成に関与する遺伝子で発現量が顕著に減少していることを明らかにしている。今後、加齢卵においても発現量が減少しているか検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に計画していた加齢卵巣内卵細胞のコンドロイチン硫酸の発現量解析は、蛍光強度によって定量を試みていたが、蛍光強度での定量は困難であった。そこで、卵巣の凍結切片から卵細胞のみをレーザーマイクロダイセクションによって切り出し、定量解析を行うべく現在検討を行っている。着床前胚のタイムラプスイメージングについては、候補となるプロテオグリカンについて解析を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
着床前胚の遺伝子発現をRNA Seqによって網羅的に調べた論文を参考に、遺伝子発現量の高いプロテオグリカンを絞り込んだ。着床前期に発現量が高いプロテオグリカンは、当初の予想よりも遙かに少なかった。絞り込みを行ったプロテオグリカンについては、順次発現ベクターへの構築を行う。また、卵細胞の遺伝子発現については、加齢マウス卵巣より直接卵を採取するレーザーマイクロダイセクションによって解決を図る。
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Research Products
(3 results)